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3.


エレベーターを降りた先には播磨がいた。

指定された部屋は普通の部屋だと思っていたが、どうやら違うらしい。

お互いに軽く礼をして、簡単に挨拶を交わして、播磨が俺を奥に導いていく。関係者以外立ち入り禁止という扉をカードキーで開け、その先の短い廊下の先にまたエレベーターがあって、今度は暗証番号を入力する機械がある。

時間を確認するために腕時計を確認するふりをして、播磨の手元を見る。000121。短い六桁。

時間は9時を過ぎたばかりだった。

そのエレベーターに入れば、階を指すボタンは二つしかなかった。この階ともう一つ上の階。上のボタンこそが俺達の行くべき階だ。

チーン、と音がして扉が開く。

この階には扉は一つしかなかった。

それを開けるために指紋認証をしなくてはならず、播磨が白手袋を外して右手の人差し指で機械に触れれば、ピーと開く音がした。

(随分と厳重なセキュリティだな…)

それにしても、俺が単独でこの部屋に入るとなると方法は限られる。一番簡単なのは播磨の指紋を手に入れることだが、白手袋を取らない播磨からやすやすと指紋を取れるとは思えない。

(面倒だ)

心の中で小さく舌打ちをした。

「朝倉様、私はここまででございます」

「播磨様?」

「この先は重要な話になりますので席を外すようにオーナーから命じられております。お帰りの際にはまたお迎えに上がりますので」

「…そうですか。ありがとうございました」

播磨に礼をして部屋の中を見た。ここからは何も見えないが、きっとオーナーがいる。

そして、今の俺にこの扉を開く術がないといことは、万が一何かあってもこの部屋に閉じ込められたまま出られないということ。

だが、舌が一枚あれば充分だ。

言葉こそが俺達情報屋の武器なのだから。

「失礼致します。朝倉でございます」

その直後、パタン、と重々しくて息苦しいとさえ感じる音を立てて扉が閉まった。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。