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18.


つまり、こういうことだ。

(マジで俺を勝たせるつもりだった、か)

シャッフルの時、あいつは正確にダイアのストレートフラッシュを仕組んでいた。

ディールシャッフルをしたのはきちんとシャッフルしているように勘違いさせるためであり、最後のパーフェクトシャッフルは完璧に、正確にカードを一枚ずつ噛み合わせていた。

ストレートフラッシュは存在していた。

だが、わざわざディールシャッフルを入れたあたり俺には勘づかれたくなかったんだろう。

俺にストレートフラッシュを渡そうとした。もし、俺がイカサマに気付かずに受け取っていたら本当に俺を勝たせていたんだろう。

だが、俺は受け取りを拒否した。

ここで二つの可能性が生まれる。俺がイカサマに気付いてわざと拒否したか、それとも、遠慮して偶然最初のカードを譲っただけかだ。それを見極めるべく、ストレートフラッシュを5枚全て捨てた。

結果、俺はルールさえ無視して二度目の交換を勧めた。ルールを無視する行為は言わば異常であり、カード交換が増えれば増えるほど勝率が高まる。つまり、俺は自ら相手プレイヤーの勝率を高めてまで何かを探ろうとしていた。

ここで奴は気が付いた。

俺がイカサマを見破っている、と。

ここでプランは変更された。偶然ストレートフラッシュが生まれた設定で俺に勝たせる計画から、実はストレートフラッシュはハッタリで俺を出すための嘘であり、奴が勝つ計画へと。

あの時、俺は自ら負けようとしていた。

結果、本当に負けてしまった。

もし、俺があそこで勝っていたら、気を遣われていたとか、わざと勝たせてくれたとか、そんなことを思って気分はよくなかったんだろう。

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