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5.


「呼ばれて飛び出てシロたん参上!ご指名…、って違うか、誰でもよかったんスね。…とりあえず、シロッス。よろしくッスよ!」

来たのはゴールデンレトリバーだった。

立花志朗(たちばな・しろう)。

店に入って一年も経っていない若いホストで、よく笑ってよく話すムードメーカーだ。尻尾を振るゴールデンレトリバーを連想させる立花は、本名が志朗ということもあり、源氏名はシロにさせた。犬っぽい。俺が名付けた。

もはや金髪に近いほど明るい茶色の髪は襟足が少し長くて、これがまた尻尾に見える。

年上のお姉さま方に特に人気のタイプで、弟っぽいのに不意に出される色気がたまらないらしい。だが、年下には悪戯っぽくて頼りになるお兄さん路線でいくから、年下にも人気で毎月のランキングは結構上位をキープしている。

「シロ、エアコンのリモコン取ってこい」

「もー、コウさん、犬扱いやだッス」

「おー、よしよし」

愚痴を言いながらもリモコンを取ってきた立花の頭をわしゃわしゃと撫でれば、隣に座っていた尋斗が笑うのを必死に我慢していた。

(ボロ出すんじゃないぞ、尋斗)

立花が尋斗の左、俺と逆の位置に座る。

「失礼するッスよ」

「あぁ」

「名前、聞いてもいいッスか?」

「時久尋斗。医者をしている」

「じゃあ、ヒロさんって呼ぶッスよ?へーぇ、お医者様格好いいッス!」

尋斗の視線が俺に向けられる。俺は頷いた。

俺達は立花が受験者かどうか知りたい。もし受験者だとしたら、立花は俺を既にマークしていて、尋斗が関係者かどうか知りたいだろう。慎重に探りを入れなければならない。

ならば、尋斗に任せた方がいい。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。