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4.


最近は妙なことばかり起きる。

教えられてもいないのに知らない魔法を使えたり、聞いたこともない単語を理解したり。今だって視界は最悪なのに槍が飛ばされる前、形成された瞬間に数と攻撃方向が分かる。

『左から三つ!!』

俺が教えてやることでイチルの回避が早くなった。もちろん、相手にとってはおもしろくない。

今まで通りなら避ければ地面に突き刺さったのに、今回の槍はそう簡単にはいかないらしい。軌道を変えたのだ。速度がある分、すぐにとは行かないが、それでもまた向かってくる。

つまり、追尾型。

避ければ方向を変える。叩き斬れば剣が凍る。しかも、そのうちにまた次から次へと新たな槍が飛んできて、数が増えていく。

『うわ、最悪、』

「俺に恨みでもあんのかよ!?」

そして、イチルが足を滑らせた。

いや、滑ったんじゃない。地面から生えた氷がイチルの足を捕まえたんだ。そのままバリバリと嫌な音を立てながら氷が膝まで上っていく。氷を叩き割る速度と槍が迫る速度、どちらが速いかなんて見なくても分かっていた。

イチルの首筋に冷や汗が伝う。俺は思わずイチルと槍の間に飛び出した。この非力な体で盾になれると思ったわけじゃない。それでも、こうすれば助かると本能的に知っていた。

『割れろッ!!』

バキ、と今まで以上に嫌な音がした。

それはまるで氷の悲鳴のようだった。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。