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15.


俺は炎の壁に突っ込んだ。

この時、風で炎を消すことはできたが、あえて消さずに燃えたままの壁に身を投げた。

フェニックスが目を見開くのが見える。そして、至極愉快そうに、まるで嘲笑うかのように口角を吊り上げたのが見えた。

炎をくぐる直前で人の姿になった。鳥の姿だと羽が多くて燃えやすいと思ったが、それは人の姿でも大差なかったらしい。あっという間に炎が燃え移って、全身を焼いていく。

刺すような鋭い痛みが全身を襲う。

炎に肌を舐められる感覚はたまったものじゃなくて、悲鳴を挙げそうになる口を必死に噤んで息を止める。炎の中で息をしてはいけない。じゃないと肺まで焼かれてしまいそうだ。

痛い。熱い。熱くて苦しい。

だが、俺の速度であれば炎の壁をすぐに抜けることができた。案の定服や腰に生えた翼は燃えていて、慌てて風で炎を消した。

「あっつ、…うわ、喉痛い」

引き攣るように喉の奥が痛んだ。

炎を消したと言っても火傷はしているもので、真っ白だった自慢の翼は先程の一瞬の間に黒ずんで、炭っぽくなっている場所まである。焼けた傷口まで黒が見えて、思わず苦笑した。

「どれだけの火力だよ」

傷口の赤が痛々しい。

動かせば引き攣って痛む。だが、動かさなくても剥き出しになった神経がひどく痛んだ。

あまりの激痛に脂汗が滲む。翼が上手く動かせない。手の甲で頬の汗を拭おうとしたが、手に血が付着してすぐに乾いた褐色になった。

思ったよりボロボロらしい。

「俺の翼をこんなにしやがって」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。