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10.


確信を突く言葉だった。

『死んだんだよ。千年も昔に、とっくに!』

途端にフェニックスの表情が硬直したのが分かった。無表情に、無感動に。だが、すぐにその表情は歪み、怒りに染まった目で俺を睨んだ。

彼だって分からないわけじゃない。

ただ、死んだ事実を認められないのだ。

だからこそ、フェニックスは怒り狂っている。

大事に思うからこそ現実から目を逸らして、ありもしない希望にすがって、だが、その希望が存在しないとフェニックス自身も分かっているからこそ俺の言葉が深く突き刺さる。

『どう足掻いたって生き返りやしないんだよ。絶対にね。…それすら分からないなんて、耄碌したとしか言えないんだよ』

吐き捨てるように言った。

『死人を蘇らせる?あんたの言葉を借りるならそれこそ戯言だ。復活の神鳥とか言って、この千年の間に成功したの?』

『…黙れ』

『自己満足に浸ってただけでしょ!』

『黙れッ!!!』

紅蓮の炎が波となって襲ってくる。

避けることも可能だったが、俺は避けずに応戦した。真っ正面から遠慮なく風を叩きつけてやったが、今回は炎の勢いが強かったようで二つの属性が壁のように数秒間拮抗していた。

視界いっぱいに広がる炎。肌に滲む汗が熱さからのものなのか冷や汗なのかもからない。

そして、数秒の拮抗の後、壁が消える。視界が開けて空の青が戻って来た瞬間、消えたばかりの炎からフェニックスが飛び出してきた。気が付けば、彼は俺の目の前にいた。

(やばっ、)

俺をめがけて炎が放たれる。

なんとか紙一重で避けたものの、あと一瞬でも反応が遅れていたらきっと焼き殺された。

実際、羽の先が少し焦げて黒くなっている。飛ぶ際に邪魔になるから風でその羽の先を切り落とせば、それはひらひらと舞いながら落ちた。

『危ないな、もう』

だなんて、軽く言ってみた。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。