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15.


「…ドラゴン、」

あぁ、もう体力が尽きた。

「一体何の話をしているの?」

カルナダ様に聞くのは無理だ、と判断した俺はドラゴンに聞くことにした。あれだけ落ち着きがあって頼りがいのあるカルナダ様は、実は弟馬鹿だったと俺はまた新しい知識を一つ得た。

真面目に聞いた俺の言葉が照れ隠しなんかじゃないと知ったドラゴンは、見る見るうちに目を丸める。濃い黄金色の宝石のような瞳。

それに伴って、ヘタリ、と耳が垂れた。

『伝言をもらったんだ』

「あぁ、伝言ね。確かに頼んだよ。ここからセットレイアの王城までは遠いからリレー式でも構わないって、聖獣達にお願いしたんだ」

『その内容がね…、』

「内容が?」

それが二発目の爆弾発言だった。

『急ぎで結婚する。トゥーグロッツェの町外れの宿で披露宴をするからお招きする。お祝いの品がほしい。幸せに暮らしていく。子供は可愛い女の子がほしい、って内容だったのさ』

「ごっふ!!??」

もう噎せてしまった。

気管が痛い。何も飲んでなくてよかった。飲んでいたら間違いなく大惨事だったと思う。

イチルに涙目でしがみつき、あまりの内容に体が勝手にぷるぷるする。イチルは気遣わしげに背中を撫でてくれていたが、俺の頭の中はパニックだった。何が何だか分からない。

(変わりすぎだよ!!もう事故とかじゃなくて…、原形すら残ってないんだけど!!)

と叫べたらどれだけいいだろう。

そして、俺と同じく衝撃に悶えている人が一人。オーツェルドだ。俺がバジリスクに伝言を任せるのを聞いた唯一の人だ。

だが、助けてくれる気配はなくて、むしろニヤニヤとやたらと楽しそうに傍観していた。

(こんの、薄情者ッ!)

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。