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5.


『やめろッ!!』

彼らを殺さないでほしい。

きっと何か助ける方法があるはずだから。

だが、静止の声はケルベロスにも聞こえていたはずなのに、止まってくれない。また別の魔獣へと飛びかかった。風を使ってケルベロスを吹き飛ばそうとするが、障害なんてないと言いたげにあっさりと魔獣を噛み殺した。

風は間違いなく動いた。実際に、後ろにいた別の魔獣は派手に吹き飛ばされた。

(そうだ、光と闇の二属性は他の四属性に干渉出来ず、干渉されることもない!)

つまり、俺には彼への攻撃権がない。

(なら、どうしてケルベロスは魔獣を殺せる?)

魔獣になった原因は、闇との融合。

違う二つの属性が混ざるから暴走するのであって、この理論でいくと闇属性の聖獣は闇の精霊と融合したところで暴走なんてしない。つまり、魔獣は元は闇属性以外の聖獣だ。

だったら、闇属性以外の聖獣にどうして攻撃できるんだ?こちらに攻撃権がないのと同じように、あちらにだって攻撃権はないはずだ。

ケルベロスが圧倒的に強いから?

だが、同ランクの俺でも攻撃出来ない。

闇の精霊が魔獣の一部として同化しているから、自分の属性に攻撃してるってこと?

それなら他の四属性への干渉にはならない。風属性は同じ風属性と戦えるように、闇属性だって自分の属性に攻撃が出来るんだ。

…いや、それでもおかしい。

それなら噛み付かずに闇の魔法で攻撃すれば楽だし、一度に複数の魔獣を消せるのに、ケルベロスはいつも噛み付いて、

(あ、分かった)

ケルベロスにも攻撃権はない。

ないからこそ、物理攻撃をしているんだ。

魔法で魔法を押すのではなく、肉体を持つものなら属性に関係なくダメージを与えられる物理攻撃を。だから、噛み付いているんだ。

逆に考えれば、

(止めるには同じやり方しかない…!)

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。