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3.

※霧島side

不安だと言うのなら、一抹の不安を抱くことすらバカバカしいほどの誠意を見せ付けて、今ある感情を伝えればいい。

そうすればきっと、…いや、正直に言えば、そうしなければ断られてしまいそうだ。

(あの怯えようは普通じゃなかった)

一体、何が怖いって言うんだ。

断るも受け入れるも鳳に決定権があるんだから、嫌だったら断ればいいじゃないか。いや、絶対に断られたくないけど。

だから、卑怯でも先手を打つことにした。

「鳳って最近食堂に来ないよね」

「まぁ、デリバリーらしいな」

「来させることって無理かな?」

「…頑張ればなんとか」

「……お願いできたりする?」

ちら、と見ると奏も俺を見ていた。バチ、と音がしそうなほどピタリと合った視線で、それだけで奏は俺の意図を理解したらしい。

笑っていない限り不良のイメージを与える顔でニヤリと口角を上げる。体ごと俺の方に振り向いて親指を立てた。

「任せとけ!」

「いや、なんか心配なんだけど、」

「親友の恋が成就するかどうかの瀬戸際なんだ。手伝ってやるよ。鳳にも借りがあるし」

「借りって?」

「小雪を見逃してくれたこと」

あの猫を見て見ぬふりをしたのか、と納得すると同時にまた疑問が生まれた。

…どうして、俺に協力することで鳳に借りを返せるんだろうか。

その疑問に気付いたように、奏が呆れきった表情をしながら雑誌の付録の猫じゃらしを取り出した。ひょい、と揺らして見せる。

そして、俺の顔の前でそれを振る。

「お前も鳳も頭はいいのに、バカって言うから勘が壊滅的に悪いよな。間に挟まれてる俺の身にもなってみろ。すげぇ疲れる」

「は?勘?」

「頭で考えて分かんねぇもんは、やりてぇままにやってみりゃあいいってことだよ」

ひょい、ひょい、猫じゃらしの先のふわふわの部分が目の前で行ったり来たりする。

そのふわふわが気になって仕方なくて、無意識に手が出て思いっきり掴んでしまった。手のひらで存在を主張するもこもこふわふわ。

自分の猫のおもちゃで遊んだにも関わらず、奏に嫌そうにする様子はなかった。

「今みたいに掴めば、案外簡単かもな」

その声が妙に響いて聞こえた。

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