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11.


その時、何かが光った。

視界の隅でだったが、澄みきった光はとても目立って思わずそちらに顔を向ければ、その光はゼノの指からしているようだ。

ある程度軍服を着崩しているゼノは、本来つけるべきである白手袋をしていない。

「ん?」

俺の視線に気付いたゼノはニヤリと、だが、僅かばかり照れたような笑みを浮かべ、手の平をこちらに向けてくる。

左手。その薬指。そこでキラキラと光りながら存在を主張しているのは、

「指輪!?」

いや、軍服を着ている勤務中にアクセサリーとか、そんなことはどうでもいい。

それよりも指輪がある位置が問題だ。左手の薬指。その位置が何を表すのかさえ知らないほど俺は無知じゃない。

あまりの衝撃に口は半開きだ。

ゼノには昔からそう言った浮いた噂が、というより事実が多かったが、薬指に指輪なんてしたことは一度もなかった。

…つまり、今度の恋人には本気なんだ。

衝撃と言えば衝撃だったが、あれだけ悲しそうな表情を見せた親友が新しい恋に進めたことが俺は心底嬉しかった。

だが、ゼノの後ろから出てきた軍人の姿を見た途端、先程の衝撃とは比べものならないほど強い衝撃が全身を駆け抜けた。

「ッ!?エルミック!?なんで船に、え、…あいつ情報班だっただろ。ていうか、海鮮アレルギーはどうした、え、え!?」

もう訳が分からない。

固まる俺を見てゼノが苦笑いをする。

エルミックは俺に見せつけるように後ろからゼノを抱き締める。その表情が若干鬱陶しいが、俺はそれどころじゃない。

そして、エルミックの左手の薬指にもゼノと同じ物があると目が認識した途端、目が限界まで丸まっていくのを感じた。

キラキラと輝く指輪だ。

「…さすがエルミック、行動が早いな」

ゼノが好きだとは知っていたが、こんなに早く落とすとは思わなかった。

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