14.※
吐き出されたリドの息も熱い。
腰の律動は激しく荒々しく貪るようになっているのに、時折俺と目が合うと微笑むように細まる目がとても優しい。
鬱陶しげにかき上げられたリドの髪は普段より乱れていたが、それすら野性的に見えてもっと魅力を引き出していた。
「リ、ド…!」
好きだ、愛してる。
お前と初めて会ってから、もうすぐ一年半が経とうとしているだろうか。
昔の俺は海軍に忠誠を誓っていて、それで満たされていた。毎日忙しいながらも俺は充実していたし、不満もなかった。
だが、予想なんてしていなかった。
誰かをこんな必死に愛することも、その相手が男だとも、俺が抱かれる側になることも、その人と添い遂げるために全てを捨てることも、…ましてや大嫌いな海賊なんて。
それを幸せだと感じることも。
恋というものは本当にどうしようもない。感情が、本能が思考を置き去りにして先走って、自覚が出てきた時には手遅れだ。
それを病気と呼ぶのなら、それはこれ以上なく穏やかで幸せな病気だと思う。
幸せすぎて泣いてしまいそうになる。快感とはまた違った意味で熱くなっていく胸に、視界が滲んでぼやけて歪んだ。
「お、おい、ロー、痛かったか?」
「…違う」
「だったら、なんで…」
幸せなんだよ、バカ。
(責任とってずっと幸せにしやがれ!)
あれだけお前を嫌っていたのに無理矢理惚れさせられて、お前のせいで仲間も職も出世する未来も失って、何もしていないのに指名手配犯みたいに海軍に追われて。
お前がいないと生きれなくなって。
どうしようもなく愛しくなって…。
「これからも幸せにしろ、バカ猫」
リドが綻ぶように優しく微笑んだ。
「任せとけ。大事に愛してやるよ」
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