9.※
「まずこっちな」
熱で朦朧とした意識の中、そんな声が聞こえた。下着の中から取り出されたリドのそれは、もう限界まで腫れ上がっていた。
(あぁ、やっとだ)
と思ったのに、後ろのダイヤは取り出されないまま、腹まで汚しながら反応している俺のものにピタリと当てられた。
「ぁっ!?」
「後ろはまだお預け」
「は、ぁ?」
「こっちでも気持ちいいぞ」
「ゥ、あぁああッ、…っ!」
グリ、と潰されて視界が白くなる。
大きな手に二つ一気に握りこまれて、リドの脈すら伝わってくるようだ。敏感な先端が彼の硬い先端と擦れあって、裏筋同士が触れ合うともう意識が飛びそうだ。
俺の先走りは目に見えて増えたが、リドの方もいやらしく濡れている。
いや、もしかしたら俺が濡らしているかもしれないと思うと、顔の熱が上がった。
「…ァん、…は、ァ、」
自分のものとは思えない甘い声。
だが、こんな声を出させている男が嬉しそうにするからこれでいいとも思う。
「ロー、…っ、綺麗だ、…はッ、」
お前の方が綺麗だよ、リド。
なまめかしい腰使いがたまらなくセクシーで、程よく筋肉のついた体が汗で湿るのも綺麗だ。男らしい喉仏も、綺麗に浮き出た鎖骨も、乱暴に髪をかき上げる仕草も。
頬の汗を肩で拭う時の鋭い眼差しも、感じた時に少し細まる瞳も、俺が乱れているのを見て幸せそうに緩む表情も。
優しく俺を撫でる手も、溶けそうな熱も。
全部が俺を惹き付けて離さない。
(…幸せだな)
改めて思った。
この甘美な毒に侵されてしまった俺は、きっとリドなしでは生きていけないだろう。
だが、それでいいと思った。
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