4.
俺を大胆とは言ったが、リドもまた大胆だった。躊躇いもなくベッドに乗り上がって来ては、勢いのままに俺を組敷く。
俺からしてみれば、こいつの方が余程獣っぽい。まぁ、普段は猫のように思えるが。
「んっ、ぁ、」
ちゅう、と首筋を吸われる。
離れる時に軽いリップ音を放ったものの、ピリッとした痛みも残したからきっと鬱血させられているんだろう。満足そうな眼差しをして、リドが指先でそれを撫でた。
たったそれだけの刺激にすら感じてしまって、無意識のうちに甘い吐息が出た。
なんだか悔しくなって、俺が破いたことによって剥き出しになったリドの首筋に唇を寄せて、俺も強く吸ってみた。
「…ずっと消えなかったらいいのにな」
ぽつり、と小さく呟かれた言葉。
優しく俺の後頭部を撫でるリドの手が、いつもよりぎこちない気がした。
「消えたらまた付けてやる」
「…出ていくくせに」
ああ、もう、徹底的に負けた。
もう少しくらいこの男のしけた表情を見ようと思っていたのに、これじゃあ心が痛んで本当のことを言うしかない。
だが、溜め息をついてから観念して口を開こうとした途端、布地が破れる高い音がして肌が一気に外気に晒され、少し震えた。
軍服とは違って丈夫さよりも美しさを重視したそれはリドに引き裂かれ、首元から腹まで派手に露出していた。先程まで値の張るドレスだったのに、今ではもう布切れだ。
思わず呆然としたのは不可抗力だ。
「…お前、ついさっきお姫様だのなんだのほざきやがったのにこの扱いか」
「お前が先に裂いたんだぜ?」
「いや、まぁ、確かにそうだが…、」
深く入ったスリットの間からリドの手が入ってきて、不満をこぼした俺を宥めるように内腿、足の付け根を撫でられた。
擽ったくて足を閉じようとしたが、既に股の間にリドが陣取っていて不敵に笑われた。
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