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3.


そこまで言ってやっと機嫌がなおった。

「ナイフは没収な。俺が守ってやるからお前には必要ねぇもんだよ」

だが、渡したナイフを返してくれる気配がないあたり、ちゃっかりしていると思う。

(まだ一緒に行くって言ってないからな)

今、リドは俺の心はまだ海軍に属していると考えているだろう。だから、俺の心を守るために俺と海軍を戦わせたくない。

だから、ナイフを奪った。

その気遣いはむず痒くて嬉しい。だが、俺はもう海軍を捨てたからお前と一緒に生きていく、だなんてまだ教えない。

「その軍服はどこから取ってきた?」

「さっきの奴らから剥いだ」

「剥いだって…、じゃあ、」

「今頃裸だぜ」

これには笑うしかなかった。

だが、状況は楽観視できない。

いくら軍服を着ているからってレパードがいるのがバレたのだ。しかも、気絶させただけならいつ起きるか分からない。

アスティアーニ先生が俺達を見逃してくれたとしても、他の軍人も見て見ぬふりをしてくれるとは思えなかった。

真夜中までまだ時間はある。

だが、魔法が解ける鐘が鳴るのを待たずに逃げてしまった方が賢明だろう。

「リド、屋敷を出るぞ」

「ダイヤがまだだ」

と言ったリドには、得意気にゼノから奪った国宝のダイヤを見せびらかしておいた。

ヒュウ、と軽快な口笛。

「お前、海賊の才能あるんじゃねぇ?」

「ほざけ」

ダイヤが手に入って嬉しそうにしていたが、一瞬、ほんの僅かな一瞬だけリドが悲しそうに眉を寄せたのが見えた。

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