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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -


4.

※ゼノside

甘えた声で呼ぶ。

「エールぅー、」

これが幸せというものなのか。

誰彼構わずに肌を重ねあった人達にも、どれだけ手を伸ばしても届かなかったローにも、こんな感情は湧かなかった。

泣きたいほど温かくて、穏やかで、優しくて、凪いでいて、それでいて燃え上がる炎のように情熱的で、熱く滾る感情。

とても心地いい感情なのだ。

一度も経験したことのない胸の高鳴り。

「エル、不安か?もしかしたら俺がローのことを引きずるかも、って考えてる?」

エルの体が僅かに硬直する。

冷静を装っているようだが、全く距離のない俺に隠し通せるはずもないのに。

「怖かったりするのか?」

「……まぁ、…で、引きずるのか?」

「そりゃあ十一年の片想いだからなぁ…、引きずらねぇって方がおかしいんじゃね?」

嘘だ。未練なんてこれっぽっちもない。

ただ甘える理由が欲しかった。

恋人同士なのだから甘えるのに理由なんていらないが、始まったばかりの恋人関係の距離をいまいち掴みかねていた。

まったくおかしな話だ。あれだけ遊んでいて、娼館に入り浸って、歴代の恋人が何人もいて、ローにも呆れられて、なのに、今初恋のように胸がときめいている。

この高鳴りが慣れなかった。

「だから、もっと俺を惚れさせろ」

少しだけ高い位置。

見上げる黄緑色の鮮やかな瞳。

いつもは切れ長で鋭い印象なのに、穏やかに笑うように優しく細まった。

「で、ローなんて忘れさせろ」

ローへの想いは既に過去だ。

だが、それをエルに教えなかったら焦って、もっと愛してくれるだろうか。なんて頭の中では打算的なことを考えていた。

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