17.
心配してくれて、
引き留めてくれて、
応援しようとしてくれて、
今でも俺を仲間だと思ってくれて、
「…ありがとう」
言葉は少ないかもしれないが、伝わってきた思いはそんなんじゃなくて、強く強く心を打って揺さぶってくるんだ。
俺が仲間を捨てられなかったように、ゼノも俺がいなくなるのがツラいと思ってくれている。それだけでとても心が満たされた。
馬乗りのゼノの下から抜け出す。だが、やはり手首は離してくれない。
「ロー…」
ぐず、とゼノの鼻が鳴る。
「本当に行くのか?絶対?」
「行くって決めたんだ」
「戻ってこられねぇんだぞ?」
「戻るつもりもない」
「今後は敵になっちまうぞ?」
「お前とはならねぇだろ」
「…まぁ。…海賊、なんだぞ?」
「お前、それ何回聞くんだよ。あいつがそうだって初めから知ってたし。…知ってて一緒に生きていくって決めたんだよ」
ゼノが少し拗ねた目をした。
そこに恨みや怒りといった負の感情は見当たらなくて、俺自身安心した。
「この先、一緒に行けなくて悪いな」
「…別に気にしてねぇよ」
「明らかに気にしてるだろ」
「っ、」
そう言えばまた拗ねた顔をする。
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