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4.


頑固だ、と俺は溜め息を吐いた。

その時、リドと会話していた軍人が眉を寄せた。じっと何かを思い出すようにリドを見詰め、黙って考え込む。

「お前、…どこかで…、」

まさか、と思った。

俺もリドも海軍出身なわけで、いつどこで誰に正体がバレるかもしれないわけで、正直に言って俺達が知らなくても相手が俺達を知っている可能性だって充分にあるのだ。

気のせいであってほしい。だが、現実とは上手くいかないと認識させられた。

「お前…、確かアスティアーニ少将が独房で尋問した奴に似ているような…」

去年の聖海祭の後の話だ。

俺がリドを捕まえてきた時。

なら、この軍人はリドを尋問しにきた先生の護衛だったの可能性が高い。そして、彼の瞳が徐々に見開かれ、唇がわななく。

それと同時にリドの目がすっと細まって、ステッキを握りしめたのが見えた。

「お前は、キャプテン・レパード…!」

キャプテン・レパード。

懐かしい名前だ。こいつをリドと呼び始めてから疎遠になった名前だが、依然として海軍のブラックリスト上位の名前だった。

その名前に他の奴らがざわめく。剣に手をかけたが、それよりもリドの方が速かった。ステッキの持ち手を掴んで抜けば、白く研ぎ澄まされた刀身が現れた。

海軍も真剣を抜く。その剣の切れ味は同じ海軍だった俺がよく知っている。五人相手。数には差があるのに、

(そのステッキ、剣だったのか…)

だなんて俺は呑気に考えていて、

「安心しろ、お嬢さん」

緊張感もなく俺の方に振り返ったリドもまた呑気にウィンクを飛ばしてみせた。

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