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3.


俺を背中に隠すようにリドが海軍との間に割って入った。俺は僅かに怯えたようなふりをして、リドの背中にすがりつく。

これで人目を避けて二人っきりで甘い時間を過ごしている恋人だと勘違いして、退室してくれればいいが、願った通りにそう上手く事が運ぶわけではないらしい。

「パーティーの客だな?」

海軍の一人が言う。

「…あぁ」

リドが返事をした。

「ここは立ち入り禁止区域だ」

「申し訳ない。恋人が人酔いをして、静かな場所を求めて歩いたらここに来た」

「なら、休憩室に。ホールの向こうにあるから俺達が送り届けよう」

瞬間に、リドが固まるのが分かった。

海軍の言い分はもっともだ。立ち入り禁止区域に迷い込んだのはまだしも、見付けたなら休憩室に行ってもらうべきだ。

海軍としてはその方がダイヤを探しやすいし、人が集まっていた方が屋敷を封鎖した時に動きやすい。だが、休憩室の位置が問題だった。ホールを挟んだ反対側になるのだ。

つまり、ホールを横切る必要がある。

ホールにいるのはアスティアーニ先生で、

(いくら追ってこないといっても、またホールに戻って鉢合わせはまずいだろ)

戻りたくない。絶対に戻ってはいけない。それはリドもはっきりと分かっていた。

「いや、それは必要ない。恋人がもう少し回復したら俺達でホールに戻る」

「なら、ホールまで送る」

「ホールはすぐそこだろう?」

「客の警護も俺達の仕事なんだ」

海軍もなかなか譲らない。

この区域をふらふらされるより送り届けた方が安心するのは理解できるが、今ばかりは心の底から本気で舌打ちしたかった。

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