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3.


「変態を見る目で見んなよ。これでもティティ先生に頼まれたんだぜ?」

「その偽物の胸を?」

「あたりめぇよ」

「いや、信じないから」

あの真面目さの代名詞であるアスティアーニ先生がこんな変態的な、…一風変わった頼みをしてくるとは思えない。

「マジだって。任務があってティティ先生もいる。…護衛で軍が来てるが、軍服だと動きづれぇから先生が私服できた」

「あぁ、理解できた」

私服。軍服は何かと目立つ。

だから客として来たが、このパーティーはアベックだ。軍人としてのキーツや演奏者としてのクウォーツ先輩は違うが、客は男女のペアじゃないと会場には入れない。

任務。つまり、極秘の情報を扱うため二人とも軍人が好ましい。で、ヘンゼルに白羽の矢が立って女装してきたってわけだ。

さっと視線を走らせれば、確かに館の主と談笑しているアスティアーニ先生がいた。

「だが、どうせ頼まれたのは女装だろ?」

「お、さすが。だが、乳でけぇ方が完成度高いだろ?あの親父、ぷるんぷるんのロリ好きだってさ。信頼のエル情報!」

「そんな情報いらないから」

胃が痛くなってきた。

軍の目的が俺達と同じダイヤということくらい俺にも分かっていたが、俺が愛した海軍はいつからこんなに自由になったんだろう。

「任務、…ダイヤの奪還か?」

途端に悪戯っぽかったアイスブルーがすっと冷え、鋭さを帯びていく。それは彼の今の姿には似つかわしくない鋭利な色だった。

「…知ってんのか」

「まぁ、」

「なんで部外者が知ってんだ?」

部外者。

予想外の響きは少し排他的で、とても寂しいが、軍を抜けたことを認められたような気がして、心のどこかで安堵する俺がいた。

そうだ、俺はもう部外者なんだ。

「内緒」

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