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8.


見間違えるはずもない純白の軍服。

それを着ているということは私的に招待されたわけではなく、正式に軍としての任務を背負ってここにいることを意味する。

よく見回してみると、注意しないと気付かない程度ではあるが、ちはほらと軍服を見付けた。しかも、出入り口やカーテンに各された階段の横など重要な位置にいる。

さらに、腰には剣が下げられていた。

サバイバルゲームなんてお戯れの遊びではなく、正式な任務なんだからそれは恐らく真剣で間違いないだろう。

(沿岸警備の奴らか?)

警備は沿岸警備班の管轄だ。

だが、貴族は確かにパーティーの警備を軍に依頼できるが、断られることがほとんどだ。

軍が警備の依頼を請け負うケースは極めて希で、大きく二つに分けられる。

一つ、パーティーに重要な人物が参加していたりと特に警備が先に必要な場合。そして、もう一つはそのパーティーの中で違法行為が行われると軍内部で推測されている場合。

今夜は十中八九、

(…後者だろうな)

つまり、

(軍は窃盗、不法転売の証拠をある程度押さえている。あるいは、…ダイヤに目星がついていて奪還目的で来ている)

警備だなんて建前にすぎない。

一昔前の俺なら迷わず軍に手を貸しただろうが、ダイヤが辞職の切り札になる今、先に奪いたいのが本音だった。

(きちんと返すから許してくれ)

気付かれないように軍人を観察していたが、壁際に沿って歩いてくる軍人が二人いた。

雰囲気からして俺に向かってきているのではなく、ただ単に壁際で目立たずに移動としようとしているだけらしい。

だが、近付いてくる二人に、全身の鳥肌が立つほど緊張してしまった。

(両方俺の船の乗組員じゃないかッ!!)

顔見知りどころの話じゃない。

何度も船旅を共にした信頼する部下達だ。

一気に緊張が押し寄せる。去年の聖海待の直後の巡回といい、海戦といい、俺の船の乗組員だって何気によくリドに会っている。

いまだに海軍ではレパードの顔を知らない軍人が多いが、俺の船だけは例外だ。

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