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7.


しばらく談笑して、だが、このまま二人で時間を潰すために来たわけじゃないから、リドが情報を集めるために離れていった。

人の良さそうな笑顔でそこらへんの婦人や紳士と話しているが、初対面だとバレたり、見ない顔だと怪しまれる気配がないほどには振る舞い方が自然で話が上手い。

だが、俺を残していく直前、虫除けだと称して首筋に思いきった鬱血跡を残した。過保護なのか、心配症なのか…。

とりあえず、俺が恥ずしい。

リドが気にしなくても、だ。

だが、とりあえず余裕が出てきて、改めてダンスホールを見回してみた。

(随分と豪華だな)

絢爛豪華、その一言に尽きる。

高く開放感のある天井には大きなシャンデリアがいくつも吊り下げられていて、蝋燭の光に無数のクリスタルがゆらゆらと煌めく。

外側に面した壁には綺麗に磨かれた透明度の高いガラスをはめられており、整えられた庭を一望できる。今は夜だからはっきり見えないが、明るい時は綺麗だろう。

夜風に靡く鮮やかなスカーレットのカーテン。重々しいのに威圧感がないのは縁どる金糸が装飾を施しているからだ。

床に敷き詰められた大理石は柔らかい乳白色で、シャンデリアの光もよく映え、無数のレディの鮮やかなドレスもまた咲き誇る花のように美しく輝かせて見せた。

そこに緩やかに響く演奏。

高音を無理なく奏でるヴァイオリンの音が特に伸びやかで、優雅だった。

だが、それにしても、

(子爵程度の位でここまで贅沢できるもなのか?金を持ちすぎているような…)

演奏は舞踏会のために用意したものだとしても、このホールにある他のものまで舞踏会のために用意したとは思えない。

それに、屋敷もかなり広いし、暗闇で見回しても分かるほどに庭は整えられている。

今回だって国宝のダイヤを盗んだんだから、そこから考えられるのは、

(窃盗、及び転売?)

その可能性がないわけじゃない。

子爵程度ではここまでできない。

さらに情報を集めようとあたりを注意深く見回していると、ふと視界の済に見慣れた白を見付けた。しかも、複数だ。

(海軍がどうしてここに!?)

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