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7.


もう顔から火が出そうで、この距離でリドに隠せるはずもなく、逃げるようにして腕から逃げ出した。引き止められはしなかったが、リドの目がとても穏やかで優しい。

俺が離れていかないと確信している指先が、すらりと腰を撫でて戻されていく。

気を抜けばこのまま見詰め合っていそうで、慌てて話題を変えるしかなかった。

「シルヴィア、隠しナイフとかないのか?せめて身を守りたいんだが、」

「ドレスじゃ難しいけど、…そうだなぁ、スリットが入ってねぇ方の太腿にガーターベルトで固定するんならできるぜ」

「ガ、…もうそれでいい」

もう諦めることにした。

ここまで来るといっそ清々しくなって、どうにでもなれと諦めの境地に達していたのに、渡されたそれに硬直してしまった。

黒のレースがついたガーターベルト。いくらドレスの下で見えないと言っても、女性用のセクシーなそれは耐えられるものではない。本気で受け取りたくない。

だが、夏用の薄手のイブニングドレス姿では武器を隠せるのは太腿くらいで、嫌悪感で震える手を必死に伸ばした。

なのに、

「あ、」

白い手袋をした大きな手が俺よりも先にガーターベルトを受け取って、面白くなさそうにポイッと投げ捨てる。

「リド!?」

「んなもん着けんじゃねぇ」

「驚いた。お前なら楽しそうにしながら俺に着けさせるって思ったんだがな」

そう言うとリドが不機嫌そうに眉を寄せた。

「お前、俺をどう思ってんだよ…。…とりあえず、ガーターベルトはやりすぎだ」

そして、いきなり顔を近付けてきて、そっと鼓膜を揺らすように息だけで囁いてきた。

柔らかい唇が耳たぶに触れるような距離。そんな至近距離で、シルヴィアにすら聞こえないほどの小さな囁き声が擽ったい。

「んなもんは俺の前だけにしろ」

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