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6.


その言葉に赤面した自覚はあった。

夜でよかった。きっと何も見えていないだろうから。だが、星の光で煌々と輝くエメラルドの目に耳まで熱くなってくる。

「いつも笑わずに小難しい顔してっから、表情筋動かねぇんじゃねぇかって心配してたが、…大丈夫そうだな」

「小難しい顔で悪かったな!」

いらない心配をするな、ばか。

そうやって怒鳴りつけてやりたいのに、緩みきった頬がどうしようもない。

あぁ、そうだ。リドの前で口角を上げるくらいならしたことはあっても、声をあげて笑ったことなんてなかったんだ。

もっと見ようと近付いてくる。夜の闇では隠せないと思うほど近くに。顔を逸らしたいのに、その目が魅力的すぎて逸らせない。

「綺麗だ」

「…黙れ」

恥ずかしくて、恥ずかしくて。

もう顔から火が出そうだ。

俺が表情を引締めればいいだけの話なのに、リドを前にすると体が言うことを聞かない。

心臓は勝手にバクバクと高鳴るし、捉えられたように目線は外せないし、さりげないことで頬が緩んでは戻らなくなる。

暑いのに触れてほしいと思うし、もっとその腕の中にいたい。抱き締めてほしい。

そう自覚すると同時に消えたくなった。というより、リドに抱き着いて表情を見られないようにしようか、と一瞬真面目に考えた俺はいよいよつける薬がない。

…いや、

(ずっと前からこうだった)

ずっと前からこんなに好きだったんだ。

「どうした、顔が」

考え事をしているうちにリドは吐息がかかるほど近くにいて、除き込んでくる端正な顔に、ふと発された言葉に、赤くなった顔がリドにも見えているんだと知った。

わざわざ聞いてくる性格が悪い誰かを軽く睨めば、確信犯だったらしくて、軽く鼻を鳴らして笑い飛ばされただけだった。

だが、言葉を止める方法なら知っている。

言葉を続けようとする意地悪な唇に噛み付いてやれば、鮮やかな緑の目が見開かれた。

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