ネタメモ | ナノ


バクラと了が拾った子


「了、ばくらは?ばくらはどこに行ったの?」
「え?何言ってるの?ボクはここに居るじゃない」
「ちがうよ、了じゃなくって、ばくらだよ」
「…え……?」

この子の様子がおかしい。そう気付いたのはつい最近の事だった。敢えて正確に言うならば遊戯くんを応援する為に訪れていたエジプトから帰ってきた頃辺りだろうか。兎にも角にもボクの名前は獏良了。彼女がボクを呼んでいる事に変わりはない筈なのに。なんでだろう。彼女はボクを見ていない。まるで、ボクのもう一つ向こう側を見ているような目を向けて語りかけてくるのだ。

「ねえ、ばくらは?やどぬしじゃなくて、ばくらは?」
「宿主…?何を、言っているの、キミは…?」

恐怖感というものなのか。込み上げてくる感情の正体を未だに理解出来ない。こんな小さな子に怖れを抱くなんて、まさかそんな。何度問い掛けても、何度言い聞かせても彼女の答えは変わらない。「ばくらはどこ?」「違うの、了じゃないの」なんなんだよ、一体。

バクラって、誰なんだよ。