4 視界がやたら赤いと思ったよ
「テレポートが古いやつしか空いてなかったからとか言ってたじゃん」
「ああ、思い出したわ」
物分かりの良い神様は頷きながら言った。それは俺がこの神様に電話をしたすぐ後のことだった。
パチパチと火花が散るような音が部屋に鳴り出して、そして突然そこに神様が全裸で現れたのだ。それは鮮やかだった。
「お前、痴女だったのか」
「ごめんオレそうゆうの無理だわ」
縛られたままのうさぎもゴミを見るような目をして言ったが、すぐさま強烈な蹴りが飛んで来て夜空の藻屑になったのは言うまでもないだろう。
神居には神のみ許されるテレポートといわれる移送装置がある。活動に必要とされる主体となる器を好きな場所に送ること出来る優れものだ。この長寿の神もその装置を使って我が家に移動して来たらしいのだがなにやら旧型しか空きがなかったようで渋々使ってやったらどうやら着衣は移送規定外だったらしい。そんなこんなであのような痴態を披露してしまった神様はとても不憫だと思う。顔を赤らめた神様はとても可愛らしかった。
しかしどんな姿であれ俺には用件があったので構わず腐れうさぎの返品を請えば散々愚痴を溢されてしまう。なんとかパパッとテレポートで返して貰い致命傷は免れたし、神様の美貌を拝めただけでプラマイゼロだ。もち肌は最高だった。
「そんで、こんな格好で神居に戻るのは嫌だと駄々を捏ねて結局泊まっていったんだよな」
「うむ、君ん家の酒は美味かったな」
「ねえ、もうそろそろ俺の話を聞いてよ」
「ああ本当だ。視界がやたら赤いと思ったよ」
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