2 もしもし、長寿の神?
「さあ腕を捲れ」
原因は八百万の神々の痴話喧嘩だとか近所のペリカンが喋っていたけど所詮噂でしかないから本当の所は何も分からない。
ぶっちゃけそんな異形が違和感なく溶け込んでしまっていても俺的に何ら変わりない日常を送っているのが現状だ。悪影響もまるでない。ただそういった”おかしい”といった認識がないだけの、現実。リアリティ。つまりこれらは騒ぎ立てるような出来事ではないのだ。
「少しちくっとするぞ」
そもそも友達が欲しいと長寿の神に頼んだのが間違いだったのだ。だって神なら皆すごいと思うのが普通だろ。まあ、叶えてくれたのだけど。
でもなんでこうなるんだろう。なんでうさぎなんだろう。
「いやちょっと待って……ッ!?なに人の腕に注射器刺し込んじゃってんの!?おかしいだろおい!?」
「低血圧な貴方に毎朝一本、これで君も僕たちの仲間さ」
営業スマイルで親指を立てるうさぎを見た。
「…………」
俺は即座に携帯を取り出した。
「もしもし、長寿の神?悪いんだけどさ、前頼んだ奴あるじゃん。あれ、返すわ。じゃ、よろしく」
この町はちょっぴりおかしい。
何故か神様と気兼ねなくお話することが出来る。
「せっかく来てやったのに!非道!外道!」
謎の液体を体内へ注入された俺は喚き散らすうさぎをうさぎらしく亀甲縛りにして窓の外へ放り投げた。
そしてひたすら耳を押さえて神様の迎えを待った。
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