1 ともだちがほしいとはおもったけど
この町はちょっぴりおかしい。
いつも空は快晴。緩やかな風が吹き抜ける。照り付ける日光は陽気を誘って穏やかだ。
隣人のうさぎが窓から顔を覗かせてバリバリ窓ガラスを叩いた。
布団から顔を出してサッと起き上がる。窓を向いて名一杯嫌な顔をする。
うさぎは窓を開けて身を乗り出す。そしてくるりと身を丸めて転がって家の中に侵入。
「何だよ、寂しかったクセに」
そう言ってうさぎは顔を歪めて笑う。今すぐその顔面を殴り潰したいと思った。
うさぎはズカズカとこちらへ歩み寄り俺の前で立ち止まるとまるで見下すかのように腰に手を当てて背中を反らせる。うさぎの顔は見ない様にした。見なくてもいつものゲスい表情をしているに違いない。冗談じゃない。
「おい人間、何ナチュラルに二度寝しようとしてんだ」
「確かに友達が欲しいとは思ったけど流石にうさぎはないわ……」
「失礼な、しっかり二足歩行してるだろうが」
うさぎが眉みたいなのを潜めて言った。
もう一度言うが、この町はちょっぴりおかしい。
何がおかしいかって言ってたらそれは勿論このうさぎを見れば分かるはずだろう。
何やら今この町は閉鎖的空間とやらをさ迷っているらしく、超絶ファンシー要素に満ち溢れてしまっているらしいのだ。
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