息を吐いた、肺が震えるまで吐き続けた
外で雨が激しく落ちる音がする
花弁は露の重みで軋んでいるのだろうか
生温い室温が不快で堪らない
頭蓋骨の中で脳を掻き混ぜられているようなそんな気持ち悪さがして吐き出してしまいそうになる

強引に組み敷かれた体は真上で見つめる視線にすくんで動けなかった
手足は未だ固定されたまま、その不自由な体は幾度も繰り返される屈辱に耐えているだけだ
固く掴まれた腕が痛んで、近寄るなと声を張って叫び出したかった

雪のように白く輝いた彼の髪は微かに甘い香りを放って、また銀色をしたその瞳は私の全てを見透かしているような感覚がして目を反らしてしまいたくなる
だけど彼は無理矢理にその瞼を引き上げ絶対に反らすことを許さなかった
このまま呼吸を止めれば終わるのかもしれない
こんな現実も過去も全て放り出せるのかもしれない
だけど慣らされた体はマニュアル通りの仕事をしてしまう
相手を煽るだけだと言うのに刷り込まれた行動は簡単には抜けてくれない
何も喋らない私に男は不機嫌そうに眉を寄せるとまさぐる指を更に深めた
息が詰まり不快な空気が肺に取り込まれてしまう

「嫌だなあ」
声音は笑っているようでいて酷く腹に響く

「ねえ、もっと蔑んだ目で俺を睨んでよ。嫌いで嫌いで仕方ないって俺に分かるようにさ。俺が嫌いなんだろう。いいんだよ、分かってるんだから。いっぱい嫌ってよ。心の底から嫌悪して。そして、何も出来ずに俺に犯されながら諦めて泣いて懇願して。首を振って小さな抵抗を見せて。ああ、そんなに暴れたらミチルの綺麗な体に傷が出来てしまうよ」

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