「お前、あの子の事好きだろ」


なんて、そんなことを聞かれたことがあって思わず鼻で笑った覚えがある

一体何をどんな風に見たらそう受け止めてしまうのか理解に苦しんだ
嫌いだよ、あの存在がなんとも不愉快で目障りで早く滅びればいいと思ってる
そう答えると彼は何を思ったのか、またまたと茶化しだす

一層苛立ちは募るばかりで「ああ、コイツ殺してえな」と半ば本気で考えて見たりもした
だが仕事の上司には代わりなくて、我慢せざるを得ない状況が非常に不愉快だった

第一俺があれを好きだと言うなら、こんなにも不快にはならない筈だろ
へらへら笑って気持ち悪い

「それで次の仕事だけど」

「はいはい、なんすかまた買い出しかなんかですか」

「殺してきて、はいこれ」

「それはまた急な話なことで」


無言で差し出してきた用紙を受け取って目を通せば、何故か懐かしい名前が目についた
理解するまでに数秒

あからさまに白々しいその態度が余計頭にくる
彼らの笑う姿が目に浮かんだ

はあ、と溜め息が出る


そっと持っていたグラスを地面に叩き捨てた

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