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Confession
2011/08/30

真夜中に電話が鳴った。とんだ非常識だと少しばかり苛立ちを覚えつつ携帯を開いて見るとディスプレイの名前に目が覚めた。
『起こした』
「全くだ」
抑揚の無い声に苛立ちは静かに消えていった。上半身だけ起き上がると背を壁を預けて用件を促す。
「で、なに」
『あのさ』

『お前の彼女殺した』

どくりと心臓が脈打った。冗談に聞こえないところが恐ろしい。
唾を飲み込んだ。
「一応聞くけど、冗談だよな」
『まさか』
最後にははっと笑う彼の姿が脳内再生されたので急いで書き消した。

一息ついて落ち着かせる。
「だから?」
『今から捨てにいくんだ』
「どうして俺に教える」
『仮にも付き合ってたんだろ』
「警察に突き出そうか」
『トモダチだろ』
「犯罪者の友達なんていないけど」

俺は案外冷静だった。確かに仮にも付き合ってわけではあるし憤りを覚える所なのだろう。けど、何だろうか。

「お前どこいんの」
『来るんだ』
楽しそうにいった。たぶん、妄想だけど。分かるのはひとつ。

「行ってやるから教えろよ」


リリカを殺したのは
こいつだ。


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