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呪いは僕たちを食い殺した 「懐かしい場所だね」
2011/07/28
チラリと薄笑いしながら訊ねてくる。
「知らない」
「なんだ 君」
鋭い視線が僕を貫いたようだった。
「覚えてないのか」
彼から表情が消え失せた。
「二人の少年が殺しあったんだ。」
僕は困惑する。
「君は覚えてないんだね」
彼は残念そうに僕を見る。
「僕らは引き戻されてしまったんだよ。」
僕の脳内は著しく循環する。
「あの時に。」
僕を呼ぶ声がする。
「許されないんだ 永遠に」
真っ赤な血液が僕にまとわりついて、右手に握られたナイフには、べっとりとそれが付着していた。滴り落ちて、足元には彼がいた。彼は僕の足にしがみついて微笑んだ。僕はよく分からなかった。
( ボクハタダキミヲアイシタカッタダケナンダ。 )
何か聞こえたような気がした。
暗闇で声がする。
「司令 Number23の反応が消滅しました。」
「またか」
「処分しますか」
「いや 続行だ」
「…どうしそこまでアイツに拘るんですか」
記憶の奥底に留めた情景を呼び起こせば彼はどこまでも貪欲で強情だ。
「さあな」
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