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それは息をするのと同じくらい当たり前のことで
2013/02/22

「ミチルは生きたい?」

「そうだね、痛いのは嫌だから」

ミフの膝の上で横になりながら、彼女の髪に触れる。
白い肌が綺麗で吸い付きたくなった。
だけどミチルには出来ない。
そういう風に出来ているから。

「例えば、わたしが一緒に死んで欲しいって言ったらどうする」

腕を上げて真上から覗く薄い唇を指でなぞってもいつも通りのポーカーフェイスのまま変わらない。
その人形の様に整った風貌は幾らでも眺めていられた。

「君を説得するよ」

「出来ないよ」

「じゃあ死ぬだろうね」

伸ばされた手のひらがミチルの両目を覆い隠す。
触れられた手のひらがひんやりと冷たいのは人より体温が低いから。

「簡単に言うんだね」

「そりゃ、ミフがいないと生きていけないからだよ」



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