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枯渇した僕に雨が降った
2013/02/21

いつの事だったか、真冬の夜に窓を全開にして全裸で寝たことがある。寒くて堪らなくて、たぶん限界まで死んで見たかったのだと思う。
それを聞いた友人は「馬鹿だろ」と腹を抱えて笑うから僕も同じように笑った。今ここで窓を開けて飛び降りても目的は何一つ変わりはないのにさ。

「あ、何、死にたかったの?」

その瞬間に白けた空気がその場を満たして、僕は友人の方を見る。僕はどこまでも貪欲で傲慢だから、それ以上の追撃を期待してしまう。別に助けを求めたりはしない。それこそ気が狂いそうになる。
空は青くて快晴だ。
何かが勢いよく僕を突き破って、ぽっかりと体に開いた穴から綺麗な水が溢れてくるから、可笑しい話なのだ。



「死ぬ時は言ってね、見届けるから」


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