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しょうちゅうこう
2013/02/09

私たちはでバスに乗ってある町へ見学に行った。着いてバスを降りて歩いていると地元の高校生らしい人たちが突然私たちを殺しにかかって来て、訳もわからず逃げた。追い掛けて来るから理由を教えろと叫ぶと、町に余所者を入れちゃ駄目なんだと答える。この町は実験をしているんだと後から続けた。

私は頑丈な建物へと連れて行かれ、大きな鉄格子の中へ入った。そこには既に一緒に来た仲間が捕らえられていた。鉄格子が自動で少しずつ閉じていき新たに捕らえられた仲間が建物の中に入って来るのが見えると誰かが「早く中に入れ」と叫んだ。この中の方が安全らしかった。
鉄格子が閉まりきるとリーダー各の不気味な男が、手荒な真似をしてすみません。今日は存分に楽しんで下さい。と私たちを歓迎した。地元の高校生たちと仲良くなり、建物の中を見学した。彼らは普通の心優しい高校生だった。

建物の見学を終えた私はバス乗り場までその高校生と運転手、そして見学者の男と車に乗って向かった。途中で窓の向こうに学校が二つ並んでいるのが見えた。手前からは中学生が下校していて、その隣で薄汚れた格好の小学生が下校していた。隣にいた高校生は言った。歳が上がるに連れて規律が緩くなっていくんだ、と。

車を降り高校生らと別れ、二人乗りの車を乗り換えた。同じ見学者の男が運転をしてしばらく走っていたのだが突然ガタリと道を外れて民家に突っ込んだ。ギリギリで止まって大事には至らなかったがそれから車体が前のめりに沈み始めた。焦った私たちはすぐさまバックし、その前方の土の地面には穴が出来ていた。私たちは何が起きたのかと中を覗き込み、白いシーツのようなものが敷かれているのが見えた。その上に横たわる小さな体があった。高さ50センチメートル程の空間に子供がいた。土を被ってしまった子達は虚ろな目で私を仰いだ。私はその場を振り返り今いる地面を見渡して、一体何処まで続いているのかと目を瞑った。

あの建物の中にあった調理場に用途の分からない干からびた蛇のようなものがあったのを思い出す。いまならそれが何であるかわかる気がした。私は先ほどの高校生の言葉が頭から離れなかった。

『歳が上がるに連れて規律が緩くなっていくんだ』
懐かしむように語る彼の姿を思い出して背筋が凍った。




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