※渋谷事変以降、釘崎さん生存・五条さんが宿儺に勝った全部いい感じの状況
※釘崎さんのその後について捏造している部分があります




「なまえさん。これ何」
夕方の事務室。
山頂の高専は冷え込み、ストーブが赤い炎を揺らめかせて微かに音をたてる。今日こそ定時で上がれるかもしれないと、ストーブの電源に手を伸ばしたみょうじの元を訪れた釘崎のスマホには、五条が映っていた。

画像の出所はインスタグラムだ。投稿アカウントは都内の高級ホテルで、その下に「おすすめ」とついている。
青空の下で白亜のチャペルを背景に、白いタキシードを着た五条が軽く片手を上げて画面に向かって手を振っている。彼と腕を組むウェディングドレスの女性は斜め後ろを見ていて顔が写っていない。周囲には参列者が並んで薔薇のフラワーシャワーをまいており、その赤さが五条の白さと目の青を引き立てていた。背景はぼけて、世界で彼だけに当たったピント。まるで映画の宣伝ポスターのようだった。

「もう広告になったんだ。この前ホテルで撮ってもらったんだよ」
「え!?いつ式したんですか!?呼んでくださいよ!!」
「これ式じゃなくてフォトウェディングでね、この前の日曜日に撮ったの」

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宿儺との戦いから1ヶ月半が経った。この1ヶ月半はみょうじの人生で1番忙しかったと言っても過言ではない。
東京の呪霊は宿儺と五条の呪力や残穢に当てられて東京から逃げ出し、息を潜めた。おかげで東京での祓除任務はほぼ無くなり、通常業務が大きく減少したがそれ以上の業務が舞い込んできた。
上層部は壊滅。加茂家は音信不通。禪院家は禪院真希の手により全滅。五条悟がこのチャンスを逃すわけがなく、腐ったミカンを箱ごと捨てて、夢の呪術師界実現のために手始めに業界刷新・規定改革に乗り出した。
それに加えて世界に呪力の概念が知れ渡ったため、国は呪術関連マニュアルの更新や各所での事件説明、呪術関連業務の全般の監督を呪術界に要請した。
それにより、成人済み2級以上術師と補助監督が手分けして業務にあたり、業界も国も後処理に奔走した。
みょうじも伊地知、日下部と組んで五条に同行し、彼のバックアップや国とのやり取りをしていたが、連日連夜会議・打ち合わせ・書類作成。シャワーどころかスーツを着替える暇さえなかった。
体力的には宿儺に切られた傷を抱えて1級任務を連打される方がみょうじにとって100倍楽だったが、呪術師の仕事は基本的には事件の後処理で、こなすほどに無力を感じる。だから五条の夢が叶う未来が掴めそうなこの1ヶ月半は、みょうじにはどんな任務より希望があった。

そしてやっと一息つけたのが週初めの日曜日である。
政府機関から開放され、1ヶ月半ぶりに目覚ましを切って寝るために4人は近くにあったホテルを取った。そこが偶然、ウェディングフォトプランを大々的に告知していた。
エントランスに飾られた真っ白なロングスリーブのウェディングドレスと、上品に輝く白いタキシードを見た五条は、ぽかんと口を開けて立ちすくんでいた。しばらくして早歩きでカウンターに向かうと、伊地知と宿泊申し込みをしていたみょうじの腕を引っ張る。

「ちょっとこっち来て」
「どうしたの」
「着て」
「うわ。すご、綺麗」
「着るでしょ、今でしょ」
「林先生のプロポーズかよ」
「僕以外の男からプロポーズされないでよ。で、僕のタキシード姿見たいでしょ。式できないしさぁ。それにみんなスーツの着替えもってきてないじゃん。明日やればみんなその間にスーツ洗えるし」
「確かに。見たいし洗われた服も着たい」
「だよね。明日の朝から撮れます?あー食事会とか翌日宿泊とかはいらないかな。今から泊まるけどそれは普通のでいいよ。写真さえ撮れればいいんで。衣装はあそこのドレスとタキシードで。あ、あと後ろの男2人の礼服も借りれます?費用はいくらでも問題なし」
相談先をみょうじからスタッフにぬるりと変えて、ホテル側の予定も空いていたのもあり、その場で確定した。

胎にかけられた生涯通して誰とも縁づいてはいけない縛りによって、みょうじはウェディングドレスを着るなんて想像さえしたことがなかった。しかし渋谷で宿儺に下半身を破壊され、別の縛りを作り、体を再構築したことによってそれが解かれた今、もう彼女はなんだってできる。
伊地知と日下部が即同意してくれたのは過労テンションとスーツを洗いたいからだったが、みょうじは心からの同意だった。そして何より、五条が楽しそうなのがよかった。だからノリで広告使用もOKしてしまった。
日下部は「経験はあるから任しとけ」と的確にフラワーシャワーを投げ、伊地知は感動して号泣していたが、彼の場合は過労がピークである状況もあったのかもしれない。

▲ ▲

経緯を話すと釘崎はじっとスマホを見て「あ!参列にいるのボケてるけどコレ伊地知さんだ!」と声をあげた。
「本当は野薔薇ちゃんとか好きな人だけ招待した式をしたかったんだけど、止めとこうって話になってね」
「え?式しないの?」
「しないっていうか、できないというか」

結婚はいいけど式には反対された。
そう五条が話を持ち帰ってきた時は、五条家から結婚を大反対されると考えていたみょうじは、よくわからんラインだなと思ったが話を聞けば理にかなってはいた。
地方の無名家と五条家当主が結婚をしたというのを大々的に行う結婚式は、五条家の沽券に関わる。そして結婚については元々、五条悟はもう期待をされていなかったらしい。
御三家が求める結婚の成果は優秀な子供である。しかし術式は生得ランダムガチャであり、もし五条悟に子供ができても無下限呪術や六眼を確定で引き継ぐことはない。ピックアップガチャになることもない。無下限呪術を求めるなら、家は子どもの母数を増やすしかないのだ。
しかし五条悟はすべてのお見合いを断ってきた。ワンマンで家を取り仕切る彼から無理に不興を買う胆力もないと、家はもう諦めていた。
だから五条悟個人が外でやることには口を出さない。一方で五条家当主の五条悟は生涯独身だった、ということで外も内も済ませて、五条悟相手でも譲れない家の名誉は保つ、というのが落とし所になった。
「外でやるおままごとならいくらでも、ってさ」
五条は額に青筋をたてて言った。聞いたみょうじもそうなった。


「ナルホドね。ムカつかないの?」
釘崎のこめかみにも青筋が浮いていた。
「いや最初はムカついたけど、よく考えたらその話に乗ったほうがいいんだ。私も実家も御三家嫌いだから直接関わり合いにならなくて済むし、五条家が1番なにか言ってきそうな彼の財産についても無関係になれる。私は五条先生と一緒にいられればいいからさ」
腹がたったから、予定どおり婚姻届をだしてやろうかと2人は考えもしたが、もしなにかあった時にお互いに面倒だな、と考え直した。だから五条は書いておいた婚姻届を額にいれて、実家の玄関に飾った。

「あー……もう。ムカつくけど2人が納得ならなんにも言えないわよ。あーぁ、なまえさんの式でブーケ取りたかった」
「お、結婚願望あり?」
「単純に取るということに憧れてる。しかしアイツほんとムカつくぐらい様になってるわね」
スマホの画面に視線を戻して釘崎が言う。
「てかなまえさんもちゃんと写ってくださいよ。絶対綺麗でしょ」
「流石に広告にされるのは恥ずかしいよ。私の写ってないやつ使ってくださいって指定したからね」
今後インターネットの海に「この画像の男性モデルさん誰ですか?」という質問と共に漂う五条の写真の横に、自分の顔が残り続けるのはイヤすぎる。とみょうじは考えていた。

「ハネムーンも無し?」
「落ち着いたら行くかも。今は忙しいしね」
「じゃあ指輪だけ?!」
「今のところは。あ、でも。そうだ。野薔薇ちゃんこのあと暇?家にこない?今、荷物減らしててさ、タグ取ってない新品の服とかバッグとかあるから、欲しいのあったら貰ってくれると助かる」
「行く!!もらう!!やった!!もしかして引っ越すんですか?」
「いや。五条先生が引っ越してくる」

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「なんか……怖くなってきたわ」
「どうしたの」
「前に泊まりに来た時より服が増えてるのに、ほぼタグ付きのままじゃないの……」
「まあ呪術師金あり、時間なしだから。野薔薇ちゃんも今のうちに私服いっぱい着て。そのうち、任務着でもういいやと全てに思い始めるから」
「ですよね!?あー……このスカートとパンツ、あとブラウス3枚ください!あとこのベージュのコートも貰っていいですか?」
「それは1回着たけど」
「なまえさんなら無問題!」
「いいよ。高専は冬コート支給してくれるから着られないし……いっぱい着てくれる人の方が嬉しいだろうしさ……」
「目が死んでる……あ、冷蔵庫が大きくなってる」

釘崎がみょうじの部屋に最後に来たのは、去年の10月のことだった。
釘崎が通うようになってから、ラグ1枚さえ変わらなかった部屋が変化している。物色したクローゼットに余裕を持って入っていた衣類は左右に寄せられてぽっかりと中央が空いていたし、冷蔵庫は最新の大きなファミリー向けになっていた。
とはいえ開けて見ても入っているのはビールとミネラルウォーター、チューブのわさびだけだった。釘崎はまた未来の自分を見た気がして無言で扉を閉じる。

「これは五条先生が来るからじゃなくて、家を放置しすぎて冷蔵庫ごと買い替えるしかなかったんだ」
「そっか。なまえさんの家は避難地域だったわね」
「そうそう。避難に指定されてる間も電気は切られてなかったんだけど、解除の後も家に帰れてなかったら丸3ヶ月くらい放置しちゃって」
「何入れてたんですか?」
「主にバナナと牛乳と食パン」
「確かにそれは封印破棄ね」
「血の気引いたよね。あ、飲み物ないね。何か買ってくるよ。バッグはクローゼットの反対側にあるから自由に見てて」

みょうじが出ていき、釘崎はバッグの物色も終えると、みょうじが使っていたクイックルワイパーで代わりに掃除をしながら部屋の中をぐるりと見渡した。3人がけのソファは釘崎も1度座ったことがあるバルセロナチェアに入れ替わっているし、ダイニングテーブルも2人がけはそのままに、肉厚な木で作られたものになっていた。
五条が気の向くまま買って来て、客人用の個室に積まれていた雑貨も綺麗に片付き、身長2メートルの男が眠れる広さのベッドが設置されている。

(アイツと暮らし始めちゃったら、流石にもうホイホイと遊びに来られないわね)

この部屋には禪院真希と一緒によく泊まりに来ていた。
高専は女子学生が少ない。呪術師・高専職員兼任で業務をこなしているみょうじと、学生・職員の枠を超えて懇意になるのは自然な流れだった。
小さくため息をついて、預け置いていた部屋着や歯ブラシを禪院真希の分もまとめて回収していると、玄関ドアに鍵を差し込む音がする。みょうじだと思って顔を向けると、そこに立っていたのは五条だった。
「オイ、オマエのせいでなまえさんと遊びにくくなったんだから、私となまえさんがお泊り会するための部屋よこせよ」
「おかえりカツアゲって初めてかも。しかも部屋。はは、ゴメンね。奪っちゃって」
段ボール1箱担いで帰ってきた五条は、わざとらしく音をたてて鍵置き場に鍵をひっかけた。
「私は服もらいにきたんだけど、今日帰らないんじゃなかったの?」
「聞いてるよ。僕もその予定だったんだけど、余裕ができたから帰ってきた。野薔薇泊まるの?なまえ先輩は?」
「帰るわよ。なまえさんは飲み物買いにコンビニ行ってくれてる」
「あーナルホドね」

五条はクローゼットを開けると、空いていたスペースに段ボールから出した服をすべてかける。漏れる鼻歌は誰が聞いても上機嫌なメロディだった。
「はしゃいでる大人って不気味ね」
「野薔薇……幸せってなんだろうね」
釘崎は「めんどくせ」という顔をするだけで、声では返事をしなかった。
「いや、ただの雑談だよ?帰りの新幹線でさ、今僕は勿論めちゃくちゃハッピーだけど、なんか幸せとハッピーってニュアンス違うくない?幸せの方は重みがあって、ハッピーの方が刹那的な印象だなって」
急な問いかけに釘崎は貰った服をたたみながら考える。いつもなら流す雑談だが、服を畳んでる間は思考が暇なので頭の中で勝手に考えが進む。幸せ、ハッピー。田舎を出て、大都市東京に来て、何度も感じて口にした言葉だ。

「……行きたいところに行って、食べたいもの食べて、欲しいもの買って、好きな人と好きなだけ一緒にいられることがハッピーで、それが長続きする環境にいられるのが幸せってことなんじゃない」
口に出して、釘崎は今日の収穫で1番お気に入りのベーシュのコートを畳む。
あの田舎に、お下がりのコートがほしい相手はもういない。
田舎にいれば左目を失うことはなかったかもしれないが、田舎ではそんな存在に巡り合うチャンスはもうない。だから憐れんだ目で見られてもどうでもいい。左目を失った今も、自分が自分であり続けるために東京に来た釘崎野薔薇の幸せは続いている。
五条は釘崎に視線を落として「成程ね」と呟いた。
「いいね。確かに。採用」
「ちょっとクローゼットもうパンパンじゃない。広い部屋に引っ越しなさいよ。客間5室くらいある部屋」
「変に広くても疲れるだけだよ。それに狭い部屋でクローゼットの占有権で言い合うのが楽しいんじゃない。はいはい野薔薇、そんな目で先生を見ない」
「ただいまー、あれ。五条が帰ってきてる?」
玄関ドアの鍵が開いていたことに不審がりながら帰ってきたみょうじは、五条の鍵の横に自分の鍵をかけた。
「なまえさんおかえり」
「先輩ただいま」
「野薔薇ちゃんコレ飲み物。五条、クリーニング店がかけてくれたビニールは外してクローゼットにいれた方がいいよ。服カビるから」
「「マジ?」」
「マジ。私1枚それで駄目にした。五条夕飯食べた?私まだなんだけど」
「僕もまだなんだけど、うーん……野薔薇もまだだよね、どうしようかな」

五条は少し考え込むと、スマホを出して通話を始めた。「お疲れ」「高専いる?」「夕飯食べた?外でどう?」「いや僕とじゃなくて野薔薇と」と会話を続けた後、釘崎を手招きし、みょうじを部屋において外に2人で出ていった。そしてしばらくして戻ってきたのは五条だけだった。


▼ ▼

「行かなきゃいけない寿司屋に野薔薇と真希を送り込んできた。僕らも夕飯にしよ」
「私達も寿司でよくない?」
「僕たち最近、ずっと国のヤツらや上層部候補と会食で寿司寿司、料亭、官邸内の食堂、コンビニだったじゃん。ま、僕が先輩と久しぶりに二人で過ごしたいっていうのもある」
「いかなきゃいけない寿司屋ってそもそも何?」
「家が懇意にしてる寿司屋でさ。僕が結婚したってどこかから聞いて顔見せに来てくれって言われててね。近々行くかなーと思ってたんだけど」
「全然違う人間送ってもいいの」
「家絡みの形式的なものだから。実際そこの店主が僕と会ったのは片手くらいだし。あっちとしては義理が果たせればいいんだよ。夕飯になるものある?」
「冷凍炒飯とわさびしかない……かな」
「それがいい。冷凍炒飯、それにしよ」

使い古しのレンジで温めながら、間に合わせで買ったものではない食器を並べて、2人してダイニングテーブルに腰掛けぼんやりとレンジの赤い灯りを見つめた。
「高専時代にもどったみたい」みょうじが言う。
「あの頃はすぐ腹減ったよね。傑はうどん茹でて、硝子がどっかから買ってきて冷凍した焼き鳥食べてて、灰原は炊き立ての米。七海は買い置きのパン」
「そうだよ。みんな自腹で自分の部屋にストックしてたのに、五条は私の冷凍炒飯をずっと食べてた」
「先輩と同じもん食べたかったんだよ。可愛くない?あの頃の僕」
「あの頃は可愛い」
「今は?」
「可愛い可愛い」
ぶりっこポーズをして、上目遣いにキュルキュルと目を輝かせる五条の話を切り上げるように加熱終了のアラームが鳴る。1袋ずつ皿に盛り付けるとパッケージの写真のように綺麗に盛り上がった。
「味、よくなったよね」
「分かる。具がデカくなったし、店っぽい味になったよね。そういえば僕、あの頃ピラフと炒飯の違いがよく分からず食べてたわ」
「あー……だから味濃い方ないの?って言ってたのか」
「そうそう」
テレビをつける。ちょうど番組切り替わりのタイミングで10分程度のニュースが流れていた。死滅回游のコロニーにされた地域と新宿の復興進捗、2018年呪霊大規模災害と名付けられた一連の被害についての国からの支援情報等が、淡々と読み上げられる。ハロウィン以前では表立って聞かなかった言葉が次々公共電波に乗っているが、これももう日常になっていた。

「ただいま」
炒飯を頬張る五条が、脈絡も泣く突然言った。
「え、なに」
「た、だ、い、ま」
「……おかえり?」
五条がアイマスクをつけたまま、ふにゃふにゃと笑う。目元が見えなくてもひどく顔が緩んでいるのがわかる。みょうじはなんだか少し気恥ずかしくなって、口角を上げたまま小さくため息をついた。
「もしかして定年の時にお疲れ様でしたって言って欲しいタイプ?」
「いや?それは別にどうでもいい。やっぱ一緒に住み始めたなら、おかえり、ただいまでしょ。でも僕が定年する時は言ってね。いやでも、そこまでできるかな」
「一緒にがんばろうぜ」
「えー?早期リタイアして田舎でソフトクリーム屋でもやろうよ」
「いやいや無理でしょ。私はともかく、五条は定年どころか雇用延長されて絶対離してもらえないよ」
「これからの呪術師界は風通しよくなるよ?」
「五条が見張ってこそでしょ。2世代くらい変わるところまで見ておかないと。ちゃんと付き合うから。それにしてもやっぱ狭いな、ホントに引っ越さなくていいの?」
椅子は少し大きく頑丈なものに買い替えたが、テーブルはそのままだ。五条の手足は中央を超えてみょうじの領域まで入ってきて、膝と膝は時折ぶつかる。
「この部屋がいいよ。なまえ先輩も、モノも、全部がすぐ手に届く位置にあって、先輩が今までいたこの部屋がいい」
五条が両手を広げて部屋を仰ぎ見る。部屋を広くするか、引っ越すか。みょうじがそう考えるたびに五条はそう言う。同居するこの時でさえ考えが変わらないなら、五条が過去を愛する間は……この部屋に一生住みそうだなと思った。

「そういえばさっきさ、野薔薇に幸せについて聞いたんだけど」
幸せとハッピーの違いについて、五条が語る。みょうじは、でももうちょい広い所に住みたいなと考えながら聞いた。
「そうかもね。あんまり考えたことなかったな。人の不幸しか見ない職種だし。でもそうなると私はずっと五条の近くにいたわけだし、結構今まで幸せだったってことになるのかな。まあ、間違いでもない……うわなんだ急にキスするな!頬を吸うな!!」

2024-04-18
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