貴方の幸せ | ナノ


件の日曜日、集合時間である10時の10分前に駅についた私は、適当な壁に寄りかかって蘭丸を待っていた。今日の服は、アーガイル柄のニットセーターに膝上のスカート、寒いからタイツをはいて靴はブーツだ。全体的にクリスマス…というかサンタをイメージした配色で、コーディネートを考えてた時は結構ノリノリだったけど、いざ着ると似合ってない様な気がしてかなり不安だ。
デートじゃないんだから、やっぱりいつもみたいに無難な格好にしとけばよかった。
そう、デートじゃないんだから。
ここのところ鳴りを潜めていた気持ちが何故か突然悲愴感を伴って自己主張を始めた。やだ、泣くな私。泣いても何にもならないじゃん。
堪らず下を向いていると、不意にポン、と頭に手が乗せられた。


「どうしたんだ?何かあったのか」
「蘭丸。おはよう、何でもないよ」
「何でもないって…泣きそうな顔してるぞ?」


蘭丸が遂にお嫁に行くのかと思うと泣けてきてねえ…といたずらっぽく笑って言うと蘭丸が怒って追いかけてきたけど、目は笑っている。


「おいコラお嫁ってどういうことだ」
「そのまんまの意味でーす」


よかった、いつもの私達に戻った。
心の中でホッと一息ついて、早く行こうよ、と私は蘭丸を引っ張って改札口へ向かった。





140104

ストック分V2





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