貴方の幸せ | ナノ


「おはよ、桜」
「おはよう、蘭丸。お疲れ様」


朝練が終わった部活生が一斉に教室へと帰ってくる、HR開始5分前。私の幼馴染も例に違わず、私の前の席に来た。なーんかしまりのない顔…さてはまためぐみちゃん絡みでいい事あったな。


「嬉しそうな顔しちゃって。今朝は何があったの?」
「何でわかるんだ?ホント、桜には敵わないな…」
「それはもう、伊達に12年幼馴染みやってませんから。で?」


先を促すと、蘭丸は嬉しそうに喋り出す。私の大好きな笑顔で、他の娘の話をする。蘭丸は、隣のクラスでサッカー部マネジの水沢めぐみちゃんが好きなのだ。そして私は幼馴染み兼相談役。でもまあ、漫画とかでよくあるように、私は蘭丸が好きな訳で。本当、自分でも阿呆らしいと思うくらいベタな一方通行の図である。でも、私は漫画と違って悲観的なんかではない。「私を見て」なーんて事は思ってない。むしろ逆だ。
私は、蘭丸の恋が成功して欲しいと心から思ってる。自己犠牲っていうわけではないけど、私は蘭丸に幸せになって欲しい。っていうか、そうじゃなきゃとてもじゃないけど相談役なんてやってらんないと思うよ?うん。
それはさておき、今朝の蘭丸の話の内容だ。朝練の後にクリスマスの話が出たらしいんだけど…これは…来るかもしれない。


「それで、今度部でクリスマスパーティをする事になったんだ。で…」
「そこで告りたいってこと?」
「あー、うん、まあ…そういうことだ」


きたー!遂にきたよ。やっと決心したかい蘭丸さんよ。ここまで長かったなあ…。いつもは男前な蘭丸なのにめぐみちゃんの事になるとまるで拓人みたいに気弱になるからなー。あ、拓人ごめん、悪気があるわけじゃなかったよ?
蘭丸の決意にどうしてもテンションが上がってしまう。やばい、キャラ崩壊が…!


「それで、プレゼント選びに付き合って欲しいんだけど、日曜日空いてるか?」
「もちろん大丈夫。幼馴染みの一大決心を全力で応援するのが幼馴染みの役目だもんね」
「なんか日本語おかしくないか?」
「いーの」


じゃあ、よろしくな、と話が一段落したところで丁度担任の先生が入ってきて、蘭丸は前を向いた。うーん、日曜日が楽しみだ。何着て行くか考えなくちゃ。





140104

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