短編 | ナノ


私は、人とコミュニケーションをとるのが苦手だった。自分の内側を見せるのが怖くて、でも外側だけで人と付き合っていけるほど器用じゃなくて。内気、おとなしいを通り越して根暗と言われるような小学生時代を送った。でも、中学校に入学して、私は自分を変えることができたのだ。
そのきっかけは、浜野海士君という同級生の存在だった。浜野君はとても明るくて、ノリがよくて、いつも友達に囲まれている。そして、その輪の中に私を引っ張り込んでくれたのだ。浜野君のおかげで私にもたくさんの友達ができた。今まで私は何を恐れていたのだろう、と拍子抜けしてしまう位“コミュニケーション”は簡単で、楽しいものだった。浜野君には本当に、本当に感謝している。


「あれ、四ノ宮まだいたん?次移動だぞー」
「ん?そうだっけ。どうりで皆いないと思った」


でも最近では、感謝や友情以上の気持ちを抱いてる気がする。あくまで気がするだけなのだけれど。


「ちゅーか、その浜野君ってのやめない?浜野でいいって」
「うーん、なんか違和感があるんだよね」
「ま、そのうちでいいけどさー」


ほら、今だって、いつもと同じ笑顔のはずなのになぜか鼓動が速くなる。少し駆け足な私の心臓。息が苦しくなるけど、このドキドキは全然嫌じゃない。
こうして私は結論へ至ってしまった。


間違いない、私は浜野君が好きなのだ。




キーンコーンカーンコーン





「うわ、やべっ予鈴鳴った!ちゅーか、はやく行くぞ!」


2人して廊下を走りながら、私はちらっと浜野君を見た。


「ねえ、浜野君」
「ん?何?」
「……やっぱりなんでもない」




131207

名前変換の意味ェ












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