clap. 一層楽しんで頂けるよう精進致します! ささやかながらお礼文になります。SSよりも短くて会話がメイン。お好きなキャラ名をクリックでジャンプします。 赤司 黄瀬 黒子 沢田 赤司征十郎の場合 彼女はいつも呆れてしまうくらいに締まりない笑顔でオレを迎える。不本意ながらも彼女に釣られてオレの気が抜けてしまう部分があったのは事実だ。と言っても些細なものではあるが…。だが、今日は違うらしい。オレが帰宅してから、いや正確に言うならば帰宅する前からなのだろう。暫く様子を見ていたが彼女自身気付いてこうなのか、それとも無意識にこうなってしまうのか…今回は前者だと判断したからこそ声をかけた。 「……いい加減にしろ。そんな状態で傍に居られるのは正直言って迷惑だ」 「…ごめ、ん…なさい。今日は帰るね」 「………誰が帰ることを許可した」 「え?だって傍にいるのは迷惑って…」 「そうじゃない。オレを前にして無駄な努力をするからだろう?隠し事ができないにも関わらず取り繕おうとするからだ」 「……」 「まあいい、言いたくないものを無理に言わせる趣味はないからね」 「………今日、仕事で失敗しちゃって…なんかすごく、悲しくなった」 「お前は無駄な努力ばかりするな。終わったことを悩んでも意味がない、とは言わないが過去ばかり見ていては前に進めないだろう。悩むくらいなら次にどう生かすかを考えればいい」 「う、ん……ぐすっ」 「…、仕方ない。今回限りだ。……おいで?」 結局オレも彼女には甘いのだろう。彼女相手だと突っ撥ねることは端から選択肢に含んでいないのだから。いつだって遠慮がちにオレの腕の中に納まってくる彼女が少しだけもどかしくて、それ以上にいじらしい。子どものあやし方など知らないが、出来る限り優しく背中を擦って親指の先で溢れる雫を拭ってやれば、彼女の纏う空気が緩んでいく。お前はそうやってだらしなく笑っている方が似合っている。オレが断言するんだ、お前はオレだけを信じればいい。 黄瀬涼太の場合 オレより遅く帰ってきた彼女。いつもと違う、少し翳った表情がやけに気になる。久しぶりだ、こんなに風に心あらずな彼女は。オレが何度声をかけようと返ってくるのは気のないものばかりで、さすがにこれ以上はほっとけない。だってこのままだとオレ自身が凹んでしまう。何より小さくて線の細い彼女が今にも消えてしまいそうで、少しだけ焦った。よし、ここはオレの出番っスね!なんて自分を奮い立たせて、愛想笑いでも良いから彼女の笑顔がみたいと思った。 「なーに落ち込んでんスか」 「……何でもない」 「え、何でもないワケないでしょ?」 「何でもないってば!」 「そんな顔して何でもない、って…信じられると思う?」 「…信じてくれない、の?」 「いや、君のことは信じてるけどそれとこれとは別…って、そうじゃなくて!」 「なあに?」 「えーっと…何があったか知らないっスけど、オレの前で気を張らなくていいんスよ。むしろもっと頼ってよ。あんたなら、幾らでも甘やかしてあげるから。」 いつまで経っても広げた腕に飛び込めない彼女を、全てから隠してしまうように抱きしめる。そこでようやく、彼女はオレに縋ってくれた。微かに嗚咽を漏らす華奢な背中をポンポンと撫でながら頬を伝う雫に唇を寄せると、薄く笑って身じろぐ彼女。頑張り屋で負けず嫌いでちょっとだけ意地っ張りな彼女が堪らなく愛しくて、ついつい甘やかしてしまうのはしょうがないよね?心配しないで?何があってもオレは君の傍から離れない…むしろ離してなんかやらねーよ、なんて。 黒子テツヤの場合 彼女と、こうやってマジバへ足を運ぶのはボクの日課になりつつある。どんなに遅くなってもボクを待っていてくれる彼女はとても健気な人だ。愛されている、なんて大々的に言うつもりはないけど、ボクはそんな彼女を好ましく感じている。けど、ボクだって見過ごせないことはある。せっかく好きな人と一緒に居られるのに、そんな顔をされて居ては腑に落ちないし、悲しくもなる。だからこれくらいの意地悪は許されるはずだ。 「ボクと居ても楽しくないですか?」 「え!そ、そんなことないよ!…たのしい、たのし、い…よ」 「……キミって本当に嘘が吐けませんよね。火神君に劣らずバカです」 「うっ…ごめん」 「謝ってほしいわけじゃないです。…ただ、ボクだとやっぱり頼れないのかと」 「そんなことない!」 「無理しないでください。多少はショックですが…ボクは頼られたくてキミと一緒にいるわけじゃないので」 「無理してるわけじゃ…!」 「すみません、少し意地悪してしまいました。…いいんです。元気のないキミだとしても、火神君に負けないくらいバカなキミでも、ボクがだいすきなキミに変わりはありません。だから、ボクの前で我慢する必要はないですし、泣いてもいいんですよ。キミは素直な方がかわいいですから」 それきり俯いてしまった彼女の小さな頭へそっと手を乗せる。髪を乱さないよう注意しながら撫でていると、透明な雫が白くふっくらした頬を伝った。すぐ彼女の細い手によって拭われてしまったけど、思わず見蕩れてしまったのはボクだけの秘密だ。甘えることを知らない彼女だからこそ、頼られたいと思うのはボクのワガママだ。解かっていても望んでしまうのは、どうしようもないほどにキミが好きだから。 沢田綱吉の場合 日に日に血色が悪くなっていく彼女。その原因がオレであることは自覚している。このデスクの大半を埋め尽くす書類のせいだ。元凶が解かっているからと言ってサクッと終わらせられないのがオレだ、なんて威張っているつもりはない。ただ彼女が心配で、思った以上に処理できていないだけで… 「……ボス。また、ですか?」 「は、ははっ…ごめん」 「いえ、大丈夫です…けど、そろそろ本気出さないとリボーンさんに殺られますよ」 「うっ…で、でも!これでも結構いっぱいいっぱいっていうか…!」 「わたしまで巻き添え喰らうの嫌なんです。だからお願いします頑張ってくださいボス」 「(後半ノンブレス…!)わ、わかったよ!頑張る……から、ちゃんと終わったら一緒にケーキ食べない?」 「…そう言うのは終わってから言ってください。それにわたし、今日はスケジュールが押しているのでご一緒できないかと」 「え?…そうだっけ?おかしいな…君の仕事、全部他に回したからフリーなはずなんだけど」 「…は?」 「ん?」 「いや、待ってください!何ですか、今の」 「何って、ボスからご褒美?疲れたときは甘いもの、っていうし…とにかく、さっさと終わらせるから空けといてね」 あ、驚いてる。こんな表情を見るのは久しぶりかもしれない。サプライズと言えるほど大層なものじゃないけど、ちょっとしたプレゼントになれば…と根回しした甲斐があったようだ。彼女から抗議される前に、さっさと片付けてシエスタを満喫することにしよう。決意と共に手を付けた書類は驚くほど順調に嵩が減っていくから、大概オレも彼女には敵わないな、なんて一瞬気が逸れたせいでスペルを間違えたのは見なかったことにした。 →Re: |