小ネタ

2011.07.28 Thursday 00:40

珍獣で、ボディーガードパロをやりたい私です。(笑)
もはや珍獣って時点でパラレルですらない(笑)
だけど鬱憤を晴らします。
ちょっとマフィアに近い、かな。
苦手な人は苦手です。ちょっと犯罪臭い…表現があるかな?
気分を害された方がいらっしゃったら
ごめんなさい!
ちょっと暗いです!
テスト鬱過ぎて鬱っぽい事しか書けてない最悪!(笑)





守りたくて、護れなかった人がいた。
ふわりと柔らかく目尻を下げるあの目元が好きで、紡ぐ鈴が転がるような言葉達がどれ程胸に響いていることか。
きゅ、と細い手首を掌で握り込んで、自戒するように瞳を閉じる。
手を伸ばした先で、凶刃に倒れ、自身の未熟さを嘲笑われるかのように変わり果てた姿で倒れる細い体が目蓋の裏に焼き付いて離れない。
ふと蘭の香りが辺りを漂う。
あの人が好んでいた香り。
けれど、笑った顔が、思い出せない。
「…大丈夫か?」
大丈夫もなにも、私は生きている。
そう言いたいのに言葉が紡げない。
体は蛇が這い回っているように熱く、身動ぎすら激痛に変わる。
いっそ私が身代わりになれたら、あの人はこの痛みの中でも生きていられたのだろうか。「馬鹿なこと考えるのは辞めて、身体戻すことを考えろ。お前の変わりは、誰も居ないんだ。」
高野さんの優しい声が耳から入ってくる。
言外に戻ってこいと訴えかけられる。
律先輩や、木佐さんの労るような目が苦しくて、千切れそうに激痛が走る右腕で目元を覆い隠した。
「ナツメが来てくれて良かったわ…」
虫の息のあの人が最後に血濡れのままほわりと笑って紡いだ言葉をやっと思い出す。
次はない、絶対に、死なせない。
変わりなどいないと分かりながらもそれでも変われれば良かったと一分でも思ってしまう自分に唇を噛み締めた。




「律先輩、次のボディーガード先は要人警護らしいですねー」
「…要人は要人でもあの人なんだよねぇ…」
「アメリカ人のセクハラくらい耐えなよ律っちゃん、俺なんか高校に潜入しながら警護だぜ?ったく参るよ、30のオッサンがコスプレだぜ?」
「えー、でも絶対に30ってわかんないから大丈夫ですよ。ねー、王子ー。」
「ねー、木佐さんは何でも似合うから大丈夫です。俺が保証します。」
「この同じ歳ツインズめ。そーゆーお前らはなんなんだよ。」
「私は王子と社交界場の警備と要人警護、その後イギリスに飛ぶかなー。要人が皇太子の誕生パーティーに参加すんだってさ。」
「俺も途中までは夏目と一緒です。その後会食の席の警備と護衛ですね。」
「…容姿が特に良いとフォーマル度が増すんだな律っちゃん。」
「社交界とか俺絶対嫌です。」
「美味しいもの食べれるから楽しいよね、王子、だけど今回は馬鹿グマがいるからなぁ…」
「あぁ、横澤さんかぁ…」
「呼んだか?」
「げぇっ!?」
「呼んでないよ、だからじゃじゃじゃじゃ〜んって出てこなくても良いんだよ馬鹿グマ」
「馬鹿グマ言うな!アホタレ!」
「ちょ、なんで馬鹿グマ?」
「ん?熊のような包容力の癖に猪のように突っ込んで行くから馬鹿グマ」
「(それ普通な顔して言えるの高野さんと夏目位だよね?)」
「(右に同じく、)」




「っ大丈夫か!?」
「っ、まさか小型注射器で直接静脈注射でそのまま毒流し込まれるとは思わなかったなぁ、どんだけ殺意向けられてんのぼっちゃま。」
「呑気にしてる場合か!ほら、中和剤!」
「あーでもなんか、最新鋭の毒とか言ってたような…首から下動かねー。笑える」
「笑えるか!」
「笑わなきゃやってらんないっしょー。要人も無事だったし、強行グループは高野さんと律っちゃん先輩が鬼の形相で取っ捕まえて締め上げてんだから。律っちゃん先輩が鬼の形相、あぁ惜しいことした。写真とっておけば杏ちゃん大人しくさせるときに使えたのに、あの人も大概じゃじゃ馬娘だからなー」
「要人脅すのに仲間を売るな!ほら、早く中和剤!」
「このままにしておけば、もしかしたら毒の抗体作れるかもよ。」
「アホタレ!お前人の5倍の毒を静脈注射で直接流し込まれてんだぞ!ぞうさんか!毒の耐性ついてるって言ったって限度があんだ!」
「じゃあ、正直に言うよ馬鹿グマ。私は中和剤の味が嫌いだ。」
「今度羽鳥に杏仁豆腐味にしとくようにクレーム出しとくから取り合えず飲め。」
「そんなクレームだしたら一時間腹抱えて爆笑しなきゃなんない副作用付けられるから辞めて」
「…たしかに。」
「おーい、横澤夫婦ー。お前ら早くしねーと高野さんが般若の顔して毒抜きまってんぞー」
「「夫婦じゃない!」」
「(笑ってる場合じゃないですよね!?ぞうさんの致死量ですよ人の5倍って!?)」
「(目を合わせるな、アイツらは人より小綺麗な顔した癖に人の5倍働いて、人の10倍伝説を作る乙女班だ!人間じゃない!)」


「聞いた?律っちゃん、アイツら。まぁた動き出したらしいよ。」
「…はい、高野さんが夏目にはくれぐれも内密にって言ってたんですけど…ね、」
「チッ、アイツ聞いてないふりしてちゃっかり聞いてっかんなぁ、見た?あの顔、らしくねぇ顔して、非道ぶった笑い方しちゃってさぁ、似合わないっつの」
「…はい。」
夜風に前髪を遊ばせながら、律っちゃんが眉間に皺を寄せて苦々しそうに口を開く。
あの時の事を思い出しているであろう表情に、俺もだよと口の中だけで紡いで、瞳を閉じる。
あの、このチーム発足してから史上最悪の日。
男にしか出来ない一番最低の方法で、自分自身を貶められ、腱を切られ、骨を砕かれて、矜持も、その心すらもズタズタにされて床に転がされた生きているのがやっとの状態の夏目の目の前で、要人をなぶり殺されたあの日。
目を醒ましたら精神恐慌に陥り、多分錯乱して今後一切話もまともに出来ないだろうと悲惨すぎる現状を報告された精神科の医師が青ざめながら言ったのを今も鮮明に覚えている。
寝ている人間が目を醒ますという自然な動作を男6人が固唾を飲んで見守るという緊迫した空気の中、息をするのと全く同じように瞳を瞬いた夏目は暴れるでも、発狂するでもなく、ただ静かに粉々に砕かれた細い腕を無理矢理動かすと、その瞳の上に力無く置いた。
あれほど、心を刺す光景は無かったと思う。いっそ、錯乱して、夏目が夏目でいる事を放棄してくれればどれ程彼女が楽で居れたことか。
それでも夏目は戻ってきた。
それを目の当たりにした木佐は彼女がいかに強くて、いかに弱い人なのだということを叩きつけられた気分になった。
だからこそ、自分は彼女の先輩らしく、彼女を守ることを決めた。
「次は無い、必ず、夏目より先に、俺が潰してやるよ。」
「それ、高野さんも言ってました。生きて産まれて来たことを母親に懺悔させてやるくらいの生き地獄を見せてやるって」
「は、父親かよ高野さん。…うん、でも、俺が死んでも俺は許してやらないけどね」
高野さんの事言えないね、俺もと頬杖をつきながら言うと、まぁ仕方ないかと仄かに笑う。
それくらい、鬼の巣窟の我がチームの猛者どもの逆鱗に触れたのだ。
ただでは済むと思えない。
夏目は優しいから、きっと鬼には成れきれないが、こちとら泣きもせず怒りもしない当人を目の当たりにして心にヤスリをかけられてその上に塩を塗り込まれているような気分にさせられたのだ。
殺してくれと乞われても殺してやれないくらいには心がささくれだっている。
「覚悟しとけよ、」
ウチの姫さんの将来を潰してのうのうと生きていたことを生きた時間だけ後悔させてやると未だ見ぬ動き出した陰に、ひっそりとその牙をかけた。




「馬鹿グマは潔癖だから多分ドン引きするよ。私子供産めない上に、超逆ハーVIP待遇受けちゃったからさ、もう男相手できないのよスマン!」
俺の一世一代の告白をカラッと笑ってそう返して、颯爽と去っていったアイツに言ってやりたい。
俺を見くびるなと。
あの鬼の班長、高野政宗が小野寺律と拗れ、傷心の時は本気でアイツを好きになって、一時は本気で幸せにしてやろうと覚悟を決めた横澤隆史なのである。
伊達に熊とは呼ばれていない。
忍耐力と包容力は人一倍あるはずだ。
じゃなきゃ、あんなお転婆娘に振り回されてそれでも懲りずに結婚を前提に付き合えモヤシ、なんていくらお人好しでもそんな事は言わない。
俺は途中合流組だから、夏目の事件直後のその姿は知らない。けれど、自分の一番弱いところを晒されて、貶されて、それでも自分自身を保って、自分より弱い人間をその細い腕で庇護して、そのくせ、守ろうとするこちらの掌はやんわりといなすその手腕は良く知っている。
お前も俺にとっては庇護してやりたい対象なのにと、届かない思いに心が熱くなった。
「礼深!」
かつり、と細いピンヒールがリノリウムの床を弾く。
10センチはあろうそのヒールは、男の視線に追い付くようにと言外なる無言の主張に思われて、思わず声がすっとんだ。
「心が伴ってない行為なんてカウントに入れてんじゃねぇよ!一番痛かったのはテメェの目の前で守りたい人間が掌すり抜けてったからだろうが!」
それを俺にも体験させるつもりかと、細い肢体に寛大すぎる心を持つコイツに卑怯すぎる選択を乞う。
卑怯でも何でもいい、
今後一生をかけて、俺がコイツが卑怯な手にたぶらかされないように見張ってれば良いだけの話だ。
コイツに卑怯な手を使うのは、俺で最後にさせてやる。それで、十分だ。
「痛かったらイテェって言えよ、お前別のくっだらねぇ事なら俺に良く喋ってんじゃねぇか!んで怖かったら怖いって言え!行動で示せ!背後に立たれんのが恐怖でしかねぇなら蹴り上げてでも退かせ!俺は文句言わねぇから!」
そしたら子種まで死亡するからお前がきっちり責任持てよ!と腰に手を当てながら言い切ったとばかりに鼻を鳴らしていると、ケタケタと可笑しげに爆笑された。
「馬鹿グマげっひーん。どんなプロポーズよ。」
「いつか絶対そのほそっこい腕の中に赤ん坊抱かせんのが俺の夢だからな、どんな手を使ってでも陥落させるさ。」
まぁ俺は紳士だから、良いって言われるまで手は出さんが、と両手を挙げながら降参するようにヒラヒラと掌を振ると、困ったようにその眉尻を下げてやっとこちらに向き直る。
「私、厳格な父親と、頑固オヤジもどきが部署に四人ほどいるんですけど耐えられます?」
「政宗と、木佐と、羽鳥と雪名だろ?泣かしたらブッ殺すって前祝いにグーで全力5発殴られてきたばっかりだ。一本歯折れた。差し歯だ責任とれ。」
「脅しにかかられてるよ、これなんですかどっきり?」
「だってお前今から泣くだろ?」
予告するようにイタズラに笑うと、踵を返してきた踵の高いミュールが早足にカツカツとこちらに向かってくる。
ぽすり、とスッポリと胸の内にはまった細い体に全力で安堵の息を吐いて、その折れそうな背に腕を回す。
「男前が台無しな上に殴られ損だな、横澤よ。精々後悔するが良いさ、」
「上等だ、モヤシ。墓場に入っても後悔してやらねぇよ、幸せ太りで最低10キロは太らすから覚悟決めとけ。」
それ普通逆でしょ、どんだけ必死だよ。と喉の奥で笑われながら胸の辺りがじんわりと湿って暖かくなっていくのが分かる。
永久凍土に活路を開いてじんわりと水で表面を溶かした気分。
それでも、きっと、コイツの琴線に俺の言葉は触れた。
全部が終わって、コイツに心のゆとりが出来たらその細い薬指にシルバーをはめてやろう。それから、もっと大切な、護るべき未来を、庇護する幸せを俺の一生をかけて形にしよう。
と、声もなくパタパタと泣くその頼りない背を優しく撫でながら、横澤は未だ見ぬ未来に思いを馳せた。




うっひょー\(^O^)/
楽しかった!満足!
お付き合い頂きありがとうございました!
気分を害されたお嬢様はいらっしゃいますか?
珍獣苦手な方にはしんどかったかもしれませんね。
最後の横澤氏が一番書きたかったなんて
内緒のはなし(笑)
珍獣では良いコンビ止まりだからなぁ。
なんか恋愛っぽいのが書けて満足!
横澤氏本当にイケメン!(笑)
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