思う存分に恵の血を啜り、飲み込む。
肌の下から香っていた、薔薇よりも芳しい、砂糖よりも甘い、血と言う蜜に酔いしれる。
これほど豊潤な血を口にしたのは初めてだ。
長い年月を過ごしたが、これほどまで相性が良い人間が居たとは、苦笑が禁じえない。
血も体も何もかも、俺のためだけに誂えたような人間、恵。
もう、手放すなんて無理だ。
他の人間の血を啜るなど、腐った水を啜るようなものだ。
他の者を抱いても、満足する事は出来ないと断言できる。
この一度で何もかも、虜となってしまった。
花嫁とはよく言ったものだ。
姉上が言った通り、花嫁以外は満足など出来そうに無い。
俺の膝の上に乗り、すべてを預ける恵を抱きしめ、寝転ぶ。
許容範囲を超えた恵は気絶するように意識を飛ばしている。
まだまだ成長途中の未熟な恵の体は、小さく細い。
だが成長途中の特有の色香が漂う恵は一目で他の者たちと一線を化していた。
着ていた服の質の良さから裕福な家だと推測できるが、これと言って飾り気がなく、ぱっと見は一般的な庶民に見えるが、見える者には分かるだろう。
飾りが無い方が恵の美しさと出ていると。
少女と見間違うほどにすらりとした華奢な手足なんて庇護欲を誘う。
だが動き出すと猫のようなしなやかさと少年特有の溌剌さが発揮され、少女とも少年ともとれない危うさが醸し出されている。
何よりも目を引くのが、猫のような甘さが有りつつも凛と引き締まった顔立ちに止めを刺される。
一目で惚れてしまった、可愛らしくも美しい人間。
その子を手に入れるために僅か五日間で儀式の準備を済ませ、本人を攫った。
本能で敵わないと解っているはずなのに、今まで教えられてきた俺たち一族が恐ろしいと睨み拒絶するその様でさえ愛おしかった。
だが、花嫁の儀を済ませていないはずなのに俺の意のままに従順な恵の身体は、正しく俺だけの花嫁だった。
それが正しいと言わんばかりに恵の身体は意図も容易く俺を受け入れた。
先ほど噛んだ首筋には真の花嫁だけに現れると言う血と同じ甘く芳醇な匂いを微かに漂わせる薔薇の蕾が現れている。
今は薄い痣でしかないが、一年もの間、月の光を浴びながら身体を繋げ、血を吸い続ければ、これは鮮やかな深紅の薔薇の御印となる。
その時を待ち侘びるように、俺の身体が歓喜する。
そっと寄せたまだまだ薄い薔薇の印がある柔肌に再び吸いつき、牙を突きたてる。
恵の身体に収めていた自身は力強く恵の柔らかい媚肉を荒々しく穿った。
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