熱くて甘い吐息。
淫らとしか言えない、粘着を帯びた水音。
視線は絡まり、離れることなどしない。
掴み、抱き締めている逞しい身体に血が滲む引っ掻き傷をつける。
どこまでも俺を受け入れて甘やかしてくれる瑛真に、俺の物だと痕を付けられるのが嬉しくて堪らない。
優雅でありながら男らしい、女でなくとも見惚れる王子様のようないい男が俺だけを愛していると真摯に言葉だけでなくすべてでもって伝えられることに安心する。
だから俺は思う存分、瑛真に俺の痕を残せる。
夢中で瑛真を求めて、痕を残してもらう。
終わりなんて見えてこない。
なんて無理だって知ってる。
夢中すぎて時間なんて分かんなかったから、チャイムの音にびくりと反応する。
だってその音は終わりの合図だから。
瑛真を困らせたくない。
でも離れたくない。
あともう一回と、涙を流して強請った。
瑛真がそれに弱いってことを知ってのしぐさ。
嬉しそうに答えてくれた瑛真の一つ一つを見逃したくないのに、熱に翻弄されると見えなくて、それがとてももどかしかった。
俺たちの行動を見越していた江住さんは、決まった時間通りに瑛真を送り出した。
別れる間際まで俺を甘やかしてくれた瑛真のベッドの中で蹲る。
早く帰ってきてって、それだけを考える。
瑛真が居ないと時間がゆっくり過ぎて、苛立ちしか感じなかった。
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