瑛真の急に決まった海外での仕事の前日。
江住さんが忙しく瑛真の部屋に出入りしてる。
そんな江住さんを尻目に、本来一番忙しくしてないといけない瑛真は俺を膝の上に乗せて抱き締めてのんびりしてる。
寝室に籠りたいって呟く瑛真を何とか宥めて江住さんに協力をすることにした。
長期で海外に行くんだからいろいろと確認することが有るのに、寝室なんて籠ったらできなく無くなるのは目に見えてる。
俺たちが座ってるソファの前にあるテーブルに置かれてるパスポートとチケットを嫌そうに、複雑そうに見てる瑛真をよしよしと宥める為に頭を撫でる。
甘えるように縋りついてくる瑛真をさらに強く抱き締めながら、ちらっとテーブルの上に置かれている物を見た。
本当は瑛真じゃなくて瑛真のお姉さんの仕事だった。
でもつい二日前、お姉さんの妊娠が発覚した。
初妊娠で妊娠初期のお姉さんに長時間のフライトを医者が許すわけもなく、その仕事は弟である瑛真に回ってきた。
瑛真は学生ってこともあって長期の仕事なんて長期休暇の時しかしない。
そんな瑛真に仕事を回すってことはそれだけ大事な仕事なんだろうなと思うけど、その期間の長さに不安を覚える。
二週間ってあり得ないだろ。
瑛真と付き合うようになってそんな長時間離れたことなんて無い。
それだけ長く海外に行くことになったら俺の親を説得して俺も連れて行ってくれる。
親も瑛真と俺が真剣に付き合ってることを知ってるし、長期休暇中だから承諾してくれる。
でも今回は無理だった。
何よりも急に決まったことだし、親は学生の本分は勉学だと言う人たちなので学期中に二週間も休ませてくれるはず無い。
一週間で根を上げてしまうほど瑛真に依存してる俺が二週間も瑛真に会えない日を送れるか不安で仕方ない。
だから今のうちに瑛真をいっぱい補充しておこうと、ずっと瑛真に引っ付いてる。
今日の朝だって江住さんが来るまで瑛真と肌を合わせてた。
たぶん江住さんが来なかったら今もずっとしてたと思う。
江住さんが来たから渋々止めちゃった瑛真と離れたくなくて、一晩中結ばれてたから眠たかったけど引っ付いてる。
眠気に負けて途中で寝ちゃったけどな。
それで起きたら寝室で寝室に入ってこれないで困ってる江住さんがいて、瑛真の邪魔にはなりたくなくてリビングで瑛真に抱っこされながら江住さんが用意してくれたアフタヌーンティーでまったりとしてる。
瑛真のサラサラの髪を撫でながら、瑛真が悪戯してくるのを耐える。
瑛真に着せてもらった瑛真のシャツ一枚しか着てないから悪戯し放題なのはわかるけど、江住さんが居るのに際どい所を悪戯するのは止めて欲しい。
でも嬉しいから止めてって言わない。
ホントはもっとして欲しい。
俺の太腿を撫でてる瑛真の手に、もっとって擦り寄る。
すると瑛真の手がシャツの中に入ってきたから、ゆるく兆している俺を愛してもらおうと誘うように腰を揺らして瑛真に体を任せようとした。
だけどその前に瑛真に体を押さえつけられてた。
なんでと思ったら後ろから江住さんの声が聞こえて、すっかりその存在を忘れていたことに気付く。
さっきの見られてたら、すごく恥ずかしいんだけど…。
「瑛真様、すべて整いました」
「ああ、ご苦労」
「明日の朝にお迎えにまいます。それでは失礼いたします」
すっげーキレイなお辞儀をした江住さんの言葉を最後まで聞くことなく、俺を抱き上げた瑛真は寝室に入った。
江住さんが整えたきちっとしたベッドの上に優しく横たえられる。
「恵…」
俺の上に覆いかぶさる瑛真を受け入れる為に俺は足を開いた。
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