中等部から高等部へ上がろうとしていた頃。

手続きなどで忙しいとあまり触れ合う時間が少なくなっていた。

この頃、恵の交遊関係も広がってあまり俺にばかり構ってもらっていなかった事も有り、少々お仕置きも兼ねて距離を取っていたのが不味かった。

家関係で問題が生じ、そのせいで姉関連も問題が勃発してしまったのが運のつき。

入学式は何とか出れたが、授業を休んでまで処理に追われてしまった。

姉はともかく家の問題は何とか収拾をつけ、恵の元へ帰り癒されようと学園に帰って恵を見つけた瞬間、我が目を疑った。


俺自慢の黒猫が、金髪になっていた。


高等部へ上がると同時に新しく入った寮から出てくる正真正銘、恵であるはずの人物は金髪だった。

俺を送り届けてくれた車から降りることを忘れてしまうほど、呆然とした。

車の扉を開け俺が下りてくるのを待っていた江住の呼びかけに何とか反応してやっと現実を見ることが出来た。

車から降り、車の窓越しに見つけ通り過ぎていった恵を追いかけ問答無用で連れ去る。

まだ入ったばかりで余所余所しい寮室へと連れ込み、少々暴れている恵をソファーへと座らせた。

俺自身もソファーへ疲れたせいか身を任せてしまう。

現実を受け入れるのが恐ろしいが、受け入れるしか出来ない。

そう飽きらめられるまで堅く目を閉じ、覚悟を決め瞼を開け見たものはやはり受け入れがたかった。

別に黒髪フェチであると言う理由は無い。

まったく無い。

だが、この金髪はいただけない。

恵は猫のように大きくつぶらな瞳が印象的な大変可愛らしい小顔な作りなので、金髪は元より茶髪だろうが白髪だろうが似合う。

だが、黒猫として定着してしまっている今。

それは無理だ。

ああ、どうしてこんな事に…。


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