人生とは儘ならないから面白い、とか言ったヤツ誰だ!?

ものすっごくソイツをシバきたい!!

どこが面白いんだよ、ちっとも面白くねぇっつーの!

「トール、なに一人で百面相〜、してんの〜?」

うりっと俺の頬に人差し指を押し付けてくる、ピンク頭の美人寄り美形を、誰でもいいですから、俺から引き剥がしてくださいませんか!?

「あ〜、トールの眉間のしわ、すっげ〜」

「ぐりぐりと眉間を押すの止めてください、痛いですから」

「え〜? ヤダ、楽しいから止めな〜い」

すらっと長い指のどこから出てんのか、すっげー痛い!

すっげー楽しそうにニコニコ笑いながら、容赦なく俺の眉間をぐりぐりしてくるピンクの美形。

もうヤダ。

「先輩、痛いですから」

指を退けようと、先輩の手を叩いて一歩下がる。

「いって〜、もう酷いな〜トールの事、可愛がってただけなのに〜」

口を尖らせて頬を膨らましても、何処までも美形と言う生き物は綺麗だ。

俺がこんな事したらキモいって言われるのがオチなのに、小顔で鼻筋は綺麗なラインで、流し眼するためにあるのか切れ長の目尻にニキビなんてありませんと言わんばかりの肌理細かい白い肌を持つ目の前の男がすると、周りにいる女子のイロメキ立つこと。

「も〜、トール力強いんだから手加減してよね〜」

「あ、すいません。気をつけます」

過剰なくらい痛がる先輩に、本当かよと思いつつも確かに俺は力が強いから一応謝っておく。

「手〜赤くなってきた〜」

「はいはい、大丈夫ですよ、それくらい」

「ヒリヒリ痛いもん」

もんって普通に言えちゃうあんたの方が痛いよ。

「そのうち治まりますって」

「痛いよ〜、トールがヒドイよ〜」

泣き真似まで始める先輩に呆れると同時に面倒臭くなってきた。

「そこまで痛いんだったら、保健室行きましょう」

座っていた椅子から立ち上がり、さっさと教室から出ていく。
先輩を待つことなんて俺はしない。
後ろで、待ってよ〜トール、何て言われても、待つ事は無い。

が、何かしらアクションをしなくては後ろのピンクは更に五月蠅くなる。

ここ一週間で学んだ事だ。

仕方ないので歩みはそのままに振り返る事にする。

「遅いですよ、先輩」

少し離れていた先輩は羨ましいほど長い足で易々と俺に追いついて、俺の隣に来た。

その事にちょっと苛立ちと羨望を感じながら先輩の横を歩く。

先輩の横に居れば嫌でも大量の視線を浴びる。

その事に大変神経をすり減らすのだが、元凶が俺をおいてっちゃうの?と潤んだ目で見てくるのに負けてずるずると一週間、休み時間に昼休み放課後に朝の登校、更に休みの日には朝から家におしかけられ綺麗モノ好きの母さんのおかげで家に泊まられて休日さえも一緒に居る。

鬱陶しいと思っていても、先輩に捨て犬とか捨て猫みたいな目で見られたら、犬とか猫とか大好きな俺はついつい構ちゃうんだよな、うう。

ピンクだけど毛並みかなり良質の大型犬。

先輩がそう見えてしまう俺って、かなり重症?

それにしても平々凡々の俺が何で先輩に付き纏われてんだっけか?

自慢では決して無いがあと1cmで170の俺はいたって平凡な顔立ちで黒髪黒目だし、おしゃれなんて面倒だと思っているので本当に平々凡々だ。
制服はある程度きちんと着こなして、アクセサリーは邪魔だから付ける事は無いし、動きやすい服が第一だと思っているから柄とか絵とかまったく気にせずTシャツにジーパンな俺はカモになりやすいらしい。

よく遊びに行くと何故か不良に金を出せと脅される。

まぁ、それに一度たりとも屈した事は無いが。

一週間前のあの日も放課後にダチの新太朗に付き合って買い物に行って帰宅途中にアホそうな不良三人組に捕まってしまったのが、運のツキなんだろうか?


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