高校に入って俺は、好きな人ができた。

しかも、二人も…。

決して惚れっぽい性格では無いと信じたいけど、いるんだ、二人!

一人は同じ委員会の一つ上の先輩で、もう一人は街中で見かけた名前もまだ解らない人だ。

名前も知らないじゃ話にならない、同じ委員会の先輩にしろとか言わないでくれ…。

気軽に告白なんて出来る相手じゃないんだ!

その、…先輩は俺と同じ制服を着てるんだ…。

同じ高校なんだから当たり前の事だろなんて思うだろうけど、違うんだ…。

その、先輩は、俺とまったく同じ制服を着てる、つまりは同性、男だ…。

悩みに悩んだよ!

これまで好きになった人は異性ばっかりだったのに、同性の、男に惚れるなんて、頭いかれたんだとマジで思ったよ!

でも先輩が話しかけてくれたり隣同士の席に座れたりすると、ドキドキしてキュンキュンして全神経が先輩に向くんだ!

先輩に名前覚えて呼んでもらった時なんて浮かれまくったし、些細なこと言っただけなのに覚えてくれてて、舞い上がっちゃうのは仕方ないだろ!

先輩は控えめの人だから目立つ人じゃないけど、言葉使いや姿勢が綺麗で、目はぱっちりで睫毛長くてちっちゃい唇が可愛いくて肌は白くてちょっとした事で恥ずかしがって頬っぺたが赤くなっちゃう、本当に可愛い人だ。

本を読むのが好きで、図書委員になれてよかったと言える人。

運動が苦手で、甘いお菓子が好きで、某ネズミの国に居る黄色いクマが好きな可愛い人。

委員会の仕事を真面目にやって出来た信頼関係を崩すのが怖くて、男同士の繋がり方ってもんがあるんだからそれで満足しろよと、自分に言い聞かせ始めている。

そんな俺に救いのような出会いが合ったのは幸運だったと思うしかない。

買い物に出掛けたとある日曜の昼過ぎ、少し動いただけで汗が滲んでくる日で、先輩に教えてもらったオススメアイスでも買って食べながらでも帰ろうかなと教えてもらった店に行った時だった。

その店は女の子が好きそうなおしゃれな外観で注文するまでの暇潰しに何気なく見てたらイートインコーナーで美味しそうにアイスを食べてるその娘を見て、目が離せなくなった。

レモン色の七分袖カーディガンに白いワンピース、髪は甘そうなミルクティー色のゆるゆるウェーブで右耳の下でまとめられて、ピンクのシャドウと長い睫毛に縁取られた目はぱっちりで唇もちっちゃいけどプルプルのピンクで、柔らかく笑っていてさらに可愛く魅せられる。

彼女の前の席に座ってる女の子と仲良さそうにしゃべって笑ってるその娘が目からぜんぜん離れなくて、店員さんが注文聞いてたのに上の空で、何とか頼んだ先輩オススメのアイスを先輩とその娘を交互に思い出しながら食べた。

その日の夜、俺は先輩が特別過ぎなだけで普通に女の子が好きなんだと結論が出た事に、やっぱり先輩は好きな子ができても好きなんだなと思い知り、大事な思い出として大切にしまっておこうと決めた。

新しい出会いもあったんだから次の恋に進もう。

でも現実てのは厳しいもので、次の恋なんて進めるはずがなかったけど…。


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