最近めっきりと今日は特に機嫌が悪い俺がいきなり機嫌が直っている事に不審な目を向けられながら、溜まっていた仕事を素早く終わらせた。

まだ仕事をしている他の委員どもを脇目に、さて急いで寮へと帰らねばと廊下へと出たところで携帯が揺れた。

番号のみで、名前が出て無い発信者に一人心当たりがあるせいか、思わず笑みが浮かぶ。

時間帯も彼だと言っているようなものだ。

電話に出たところ、放課後の時と同じ反応にますます笑みが深くなるのが分かる。

寮へと帰る道の途中で見つけた小野田の手を取って、恐々と様子を窺っている小野田を部屋へと連れ込む。

この寮のフレンドリーさにカルチャーショックを受けて呆然としている小野田は思考が止まっているのか、俺の言った通りに動いている。

まぁ仕方ない、あんな虚栄心剥き出し連中に囲まれてんだからな、同じカテゴリーに分類されるのは。

俺も小野田をあの馬鹿連中と同じだと思ってたしな。

だが実際の小野田はどうだ、可愛いうえにエロい。

俺の言った通り動く小野田が可愛くて可愛くて堪らない。

自分の頬が緩むのを止められない。

小野田をもてなす為にいつもより慎重にコーヒーを淹れる。

気にいってるカップにいつもより芳醇な香りを漂わせるコーヒーを注ぎ、未だに固まったままの小野田の前に置く。

目の前に置いたにも関わらず何もアクションがまったく無い事に苦笑しかない。

本当にカルチャーショックだったんだな小野田。

だがいい加減、俺に意識を向けて欲しい。

と言う訳で、小野田に声をかけつつ、顔を覗き込んだ。

小野田は美人だった。

あまり似合うとは言えない銀フレームのメガネと長めの前髪に隠されているその顔は美人だった。

形良い眉に長い睫毛に縁取られた切れ長の瞳、高くもなく低くもない丁度よい小鼻と呼ばれる部類の物で愛らしさを加味しており、その下にある薄いが艶やかな桃色の唇がなお一層愛らしく魅せられる。

何時も周りに居る豪奢な容姿の者ばかりが侍り、群がってくる者たちでさえ美化、中にはさらに化粧や整形までしている者もいる中で、小野田のような素朴なままがとても良い。

俺はますます小野田琉輝に魅かれる。

手に入れたい……

俺だけのものにしたい……

あぁ、欲しくてたまらない……!!

どうでもよかったこの容姿が役に立つとは……実に滑稽だが、琉輝を手に入れるためならば使わない手は無い。

警戒心丸出しだった琉輝の最大の攻め場所。

琉輝の目の前に曝した、琉輝が欲しいと言うモノ。

そんなにとろけた目で見るなよ。

我慢…か、したくねぇな…。


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