山の中にある鳥籠のようなこの学校にとってお綺麗所である現生徒会には天敵と呼べるものがある。

この学校はお坊ちゃん校だ。

間違いを起こさないために入れられる後継者とかが探さなくてもそこらへんにごろごろいる。

後継者(まぁ長男と呼ばれる奴らのことな)とかその後継者を補佐する(次男とか代々秘書を務めている家系の奴らとか)とか言う奴らは学業はもちろん私生活だって疎かにしない。

だが、それらを離れた甘やかされた三男四男あたりになると話にならない。

あぁ、あと過度に期待された一人っ子なんかは変に捩じれていて駄目だこいつ状態になっている。

現実を知って見据えている奴らと、現実を知りもしないし見ようとも思ってない奴ら、あと現実を思い知らされて現実逃避してる奴らの三つの分類分けがこの学校ではできる。

と言っても、これは坊ちゃん連中の分類分けであって俺を含める奨学生やスポーツ特待生は含まれてないからな。

この学校は坊ちゃん校であると共に進学校でもあるから学力はもちろん、スポーツにも力をつけ、学校の箔を維持すると共に底上げするための余念がすさまじいために奨学生はもちろんのこと、スポーツ特待生が生徒の半数を占めている。

まぁそれでも坊ちゃんたちの数が多いけどな。

それでこの学校の運営は、言うまでもなく坊ちゃんたちがしている。

で、矢面に立たされるのが生徒会。

学業と金銭面以外は口出ししない教員と理事会。

学校行事や委員会や部活動の運営はすべて生徒会で決済する。

なんだこの学校、と入った当初思った。

明治初期に開校した由緒正しき男子校であるこの学校には時代遅れな校風があったりとおかしいものが多々ある。

その最たるものが生徒会だ。

後々、家業やら会社運営に携わる後継者たちの実戦訓練のためにこのようなシステムと変化したらしいが、古今東西問わず世の中、学生中でも会社運営に携わってる後継者なんてザラだ。

なんとはた迷惑なシステムを残したものだと呆れていても、この学校は明治初期に開校し数々の名誉を持っている有名名門進学校。

そこの生徒会長なんて、見栄とかの塊である上流階級者たちにとっては喉から手が出るほど欲しい箔なんだろう、それ目指して次から次へと坊ちゃん連中が入学するんだからな。

そんな生徒会に馬鹿な連中が選ばれたら?

この学校は破綻する。

実際に何度か破綻しかかったらしい…。(一度で懲りろよ。)

それで危機を覚えた学校側がそう言った場合のみ生徒会長に奨学生を据える事にした、らしい。

金持ちは美しい物が大好きと言う美学のもと選ばれた選民意識が高過ぎる見た目重視の役立たずを多く選んだ場合、理事会より奨学生が選ばれ会長に据えられる。

でもな、奨学生は生徒会活動なんて面倒な上に勉強の妨げになるだろ?

そんなもん引き受ける阿呆なんている訳が無いから、誰も引き受けない。

でも大人と言う生き物は俺たちよりも長く生きてる生き者だ。

奨学生の多くはこの学校では苦学生だ。

何せ学食の最低金額が1500円、食費が馬鹿高くならざるおえない。

それで自炊すればいいだけの話だが、今までお袋頼みだったものがそう簡単に出来るはずもなく、奨学生のほとんどが食費はカツカツだ。

育ち盛りの高校生だぞ!

食ってもすぐに腹が減って、いつも飢えてる。

そんな者の目の前に学食すべて無料を見せられてみろ。

一二もなく首を縦に振ったわ、俺。

……話が俺の話になってるな…、とりあえず話を戻して。

学校のアイドルである現生徒会は見た目が重要であって実力はその生徒会に属するにあたってまったくかすりもしないほど無いヤツらが、目の敵にしてるヤツらがいる。

読者のお嬢さん方にはもう解っているだろうが言わせていただこう、風紀委員会のヤツらだ。

見た目は生徒会役員に勝るとも劣らない美形軍団で、何よりも実力でその地位を手に入れてきた猛者の集まりなのだ。

プライドがエベレスト級の見た目だけ抜群の役員たちにとってこいつらほどプライドを傷付ける存在は無かったらしい。

まぁ俺もヤツらにとってはプライドを傷付ける厄介者だったらしいが、自分たちの代わりに煩わしい仕事を押しつけられる体の良い小間使いだと思われいるようで、これと言って僻まれる事も今ではほとんど無い。

見た目だけしかない坊ちゃん連中にとって容姿端麗で有りながら実力者である風紀委員なんて僻みの対象になるのは自然の摂理で、一応生徒会の長である俺は阿呆な役員に言いつけられて風紀とは必要最低限の接触しかしてきてなかった。

いや、と言うか、美形連中に関わるとろくな事が無いから進んで関わり合いにならないようにしてるんだけどな…。

そんな俺に転機が訪れるなんてな、俺自身ビックリだ!!

必要でもない限り近寄りもしない俺を風紀側が何を思ったのか、阿呆連中と同じ扱いになってきているように思えてくるこの頃、風紀に渡すはずだった書類を一枚渡しそびれてしまったのがきっかけだった。

風紀を目の敵にしている副会長が行くはずもなく、かといって先輩である書記に頼むのも気が引けるし、それに仕事も今日の分は終わったからいいかと俺が風紀委員会室に立ち寄った。

俺は礼儀としてコンコンとノックすると応答があったのでドアと開けると、俺の目の中に綺麗に六つに分かれた腹筋が飛び込んできた。


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