俺の名前は小野田琉輝。

この山奥にそびえ立つ私立三笠山高等学校の生徒会長をやっている。

会長なんぞ別にやりたくは無いが、特典が美味しすぎて引き受けたしだいだ。

一般家庭出身者である俺に坊ちゃん校の生活水準が高すぎなんだよ。

学食の一番安い、焼いたトーストとサラダとスープのセットで1500円だぞ!

素うどんでさえ2000円!

庶民をナメくさりやがって!

何が最高級品の何々を使った品だ!

普通でいいんだよ!

あっ!?

なんでそんな庶民の俺がこんな坊ちゃん校に通ってるかって?

んなもん、決まってるだろ。

奨学金がタンマリだからに決まってる。

授業料をはじめに全寮制だから寮費はもちろん制服や教科書などと言ったもろもろの学用品が免除。

美味しいだろうが!

学校側が提示している及第点を抑えてさえいれば、それすべてがタダ!

マジで美味しすぎる!

それで生徒会役員になったらすべての学食がタダ!

おかげで朝早く起きて弁当作らなくて済むようになった。

いや〜な生徒会役員になる前は食費がカツカツで…仕送り日の前一週間なんて一日パン一切れなんてザラだった。

それが今や、余裕の余っちゃんって言えるぐらいの余裕なんだぞ!

まぁ俺以外の役員は坊ちゃんで矜持だけはエベレストクラスの使えない奴らだとしても、なぜかドドメ色の悲鳴を一緒に浴びることになっても食費にだけは変えられないからな、うんうん。

ちなみに俺の容姿は通常の男子高校生だ。

副会長のような童話から抜け出したような王子様ルックや、適度に着崩してキラキラしい貴金属をこれ見よがしに身に着けても恰好良いと呼ばれるチャラ男会計でも、武士と思わせるキリリとした日本美男子書記でも、髪に天使の輪にくりくりの大きな瞳と小学生体形の年齢詐称してんじゃねぇのかと思わずにはいられない補佐のような目立つ容姿では決して無い。

前髪と襟足ちょい長めの黒髪に銀フレームのメガネ、身長は170で忌々しいことに筋肉つかねぇちょっとひょろ長体形の何とかインテリ系に見えるイマドキ高校生だ。

この学校でなくとも普通に分類される俺は、他の役員たちとは違って悲鳴を浴びたことは一度もない。

まぁ、浴びたいなんて、これっぽっちも思わないが…。

役に立たない坊ちゃん役員たち(書記は一学年上で去年もしていたおかげと、本人の考えにより真面に役員をしているので除外する)の仕事までしている忙しい俺に神様からのご褒美としか思えない、とんでもないものが目の前に現れた。


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