これだけ意識してんのに、俺は委員長と話したこと無いんだよね。

一回二回は流石にあるよ、同じクラスだし。
でも業務連絡みたいな話しかしたこと無いんだよね。

これは普通に話しできる絶好のチャンスだよな!

「委員長、まだ残ってたんだ」

よし、普通に声かけれたぞ!

俺の声に振り返った委員長は、驚いたように俺を見る。

「ああ、篠北か。部活終わったのか?」

「今さっき終わったよ」

「帰らないのか?」

「あー、えっと携帯見つからなくて、探してるんだ」

「…そうか」

そう言うと委員長は作業を再開して、これ以上話したら不審に思われるから自分の席に行って机の中をがさごそ探した。

携帯はすぐに見つかった。

「あった!」

「良かったな」

俺なんかもう眼中にないと思ってたのに、委員長は笑顔でそう言ってくれた。

初めて委員長の笑顔、真正面から見た。
めちゃカワイイ…。

うん、俺、委員長が好きだ。

「うん、ありがと」

「じゃ、気を付けて帰れよ篠北」

作業に没頭しようとする委員長の前の席の椅子を引いて、そこに俺は座る。

目の前に座る俺を驚きながら見る委員長ってカワイイ。

「携帯見つかったんだろう?」

「うん、ほらこの通り」

高校入学祝に買ってもらったスマホを委員長に見せる。

「帰らないのか?」

心底不思議そうな顔の委員長もカワイイ。

「こんな状態の委員長を置いて帰れるほど、俺はヒトデナシじゃないよ」

こんなのところで紙の山を指さす。

「何すればいい?」

きょとんってしてる委員長って本当にカワイイ。

徐々に照れくさそうに笑ってくれる委員長は、ホチキスで纏めた書類を止めてくれってホチキスを渡してきた。

今のホチキスってあの針?であってるのか知らないけどアレが無くてもできるんだって初めて知った。進化してんだな。

とにかく俺は委員長と仲良くなりたくて積極的に話しかけながら作業を始めた。

それで下心ありまくりの俺は、自然な流れでシモの話を始めた。

だって俺は恋する乙男ですから。


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